大学選択で重視する項目は時期によって変化する

 

 

冒頭で見た河合塾「ロンゲストイヤー塾生対象アンケート」や文部科学省「21世紀出生児縦断調査」にも言えることですが、大学選択基準には複数のカテゴリーがあります。大まかに整理すると、学修内容、入試、ブランド力、立地・環境などになりますが、それぞれがどのように影響し合っているのかという点はさらに深く知りたいところです。大学側から見ると学生募集のために何に力を入れたら良いのか、ということになるからです。これについての明確な答はありませんが、時期によって重視する項目のカテゴリーが変わっていくというのは1つの考え方としてあると思います。

下記のデータは筆者による調査ですが、調査時期が少々古いことと文系学生だけを対象としているため、参考程度として見ていただきたいのですが、受験する大学を絞り込んでいく過程において入試の時期が近づくにつれ、重視する項目が変化する様が見て取れます。この時期について補足すると、「どんな学校があるかを調べ始めた時期」=知覚段階、「最終的に入学した学校に関心を持った時期」=処理段階、「第一志望の学校を受験校に決めた時期」=考慮段階、「最終的な入学校を決めた時期」=選好段階、としています。これは消費者行動の考慮集合という考え方に依拠しています。ただ、これを見るとやはり「最初は見た目」と言えなくもありません・・・。
<図:大学選択で重視したこと(複数回答) 社会科学系学部生143名(2008年)>

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神戸 悟(教育ジャーナリスト)

教育ジャーナリスト/大学入試ライター・リサーチャー
1985年、河合塾入職後、20年以上にわたり、大学入試情報の収集・発信業務に従事、月刊誌「Guideline」の編集も担当。
2007年に河合塾を退職後、都内大学で合否判定や入試制度設計などの入試業務に従事し、学生募集広報業務も担当。
2015年に大学を退職後、朝日新聞出版「大学ランキング」、河合塾「Guideline」などでライター、エディターを務め、日本経済新聞、毎日新聞系の媒体などにも寄稿。その後、国立研究開発法人を経て、2016年より大学の様々な課題を支援するコンサルティングを行っている。KEIアドバンス(河合塾グループ)で入試データを活用したシミュレーションや市場動向調査等を行うほか、将来構想・中期計画策定、新学部設置、入試制度設計の支援なども行なっている。
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