専門職大学・専門職短期大学は、2019年4月、1964年以来55年振りの新しい大学制度としてスタートした。
今や、大学、短期大学、専門学校などの高等教育機関に進学する18歳人口は8割に上る。こうした高等教育機関では、社会的に質の高い職業人の養成が望まれるにもかかわらず、実践的な職業教育に特化した仕組みの不足や、教育の質の担保など、それぞれにさまざまな課題を抱え、変化の激しい時代に対応しうる学制への変更は急務であった。
これらの課題を解決するために、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関としてスタートしたのが専門職大学制度である。
専門職大学・専門職短期大学が、従来の大学・大学短期大学と異なる点は、大きく3つ。
①原則40名以下の少人数教育
②600時間(合計4カ月程度)の隣地実務実習が必修単位として存在
③専任教員の40%以上を実務家教員で構成する
従来の大学では、「教養教育」と「学術重視の専門教育」という学術重視の構成がなされている。一方で、専門職大学・専門職短期大学では、「教養教育」と「学術重視の専門教育」に「職業重視の専門教育」と「隣接他分野の教育」が加えられ、授業の1/3以上は実習・実技、理論(学術)と実践(職業)をバランスよく学び、他分野の学び(展開科目)も得られるようになる。
つまり、実践的な教育に意欲・適性を持つ学生、スペシャリスト志向の学生に向いた構成になっているのだ。
卒業後の資格・学位は、従来の大学同様、「学士(専門職)」が付与され、修業年限も専門職大学は4年、専門職短期大学では2・3年だ。現在、日本に大学788校、短期大学315校があるなかで、2019年より開学した専門職大学・専門職短期大学は、合計17校とまだ少ない。
専門職大学制度がスタートからもうすぐ3年。しかしながら、専門職大学・専門職短期大学について、その特性や現状の大学・短期大学・専門学校との違いがわからない、高校教員の中でも40%以上が「名称のみ知っている」という調査結果もあるなど、認知が十分進んでいるとは言い難い状況である。
そこで専門職大学の認知度向上に向けた情報発信、啓蒙活動(イベントの開催等)、教育連携(単位互換等)、研究連携(共同研究等)インターンシップ連携、高大連携、相互理解・情報交換などを掲げ、2020年4月当時開学していた11校の専門職大学および専門職短期大学により専門職大学コンソーシアムが設立された。
初代会長には、開志専門職大学 北畑隆生学長、副会長には、静岡県立農林環境専門職大学および同専門職短期大学部 鈴木滋彦学長とびわこリハビリテーション専門職大学 山川正信学長が就任。
専門職大学・専門職短期大学が相互連携、更には産業界・地域社会等との連携を推進することで、社会経済情勢の変化に即応した高度専門職教育機関として発展・拡大し、我が国の発展に寄与する。その実現のため、これからも専門職大学コンソーシアムは、各専門職大学・専門職短期大学の取組や成果を共有し、相互に教育の質を高め、その取組・成果を世の中に広く発信していく。
参考:
平成27年3月27日
実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議
「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の在り方について 審議のまとめ」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/061/gaiyou/1356314.htm
専門職大学及び専門職短期大学の創設― 学校教育法の改正に係る国会論議 ―
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/zikou08.html
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2017pdf/20170908021.pdf
学校基本調査
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00400001&tstat=000001011528
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