363人×83社が生み出す、それぞれの生き方と働き方

大しごとーくは、実行委員長である木口屋さん(人文学部2年)の「今は“未知”である就活が一本の“道”としてイメージできるようになることを願っています」という挨拶から始まった。イベント内で実施されるプログラムは大きく2つ。メインとなるのが体育館で開催される「ミチしるべ」だ。ミチしるべでは、参加学生が実際に企業のブースに訪れ、企業側の担当者と20分間の対話を行う。形式的には就職活動の中で行われる合同企業説明会に近いが、対話の中で話される内容は合説とは大きく異なっていた。

まず、企業側から自社の事業内容が説明され、続いて「自社の社員が仕事のどんなところにやりがいを感じているか」と、「社員が安心して働ける職場環境や制度」の2つについて紹介があった。続いて学生から様々な質問が飛ぶ。その会社の制度に対する質問もあれば、「学生時代にやっておいた方が良いこと」や「企業選びの基準について」など内容は様々だ。お互いに採用する/されるの関係にないため、対等に話が繰り広げられていくのが新鮮だった。

学生は1人あたり3回のミチしるべに参加することができるが、中には「どんな企業があるのかわからない」「自分の興味がわからない」という学生も多い。そのため、1回目と2回目のミチしるべでは、あらかじめランダムに割り振られた企業を訪れ、フラットな状態で対話ができるようになっていた。このあたりも、「ミチ」というテーマを設定した運営メンバーならではの工夫だ。反対に、3回目のミチしるべでは自分の好きな企業と対話することが可能で、もともと興味のあった企業を選ぶ学生や、1・2回目のミチしるべで聞いた話を参考に選ぶ学生もいた。

来場した学生たちは、受付で受け取った「ミチしるべワークシート」に企業との対話で知ったことや感じたことを書き込み、その企業のやりがいや職場環境の良し悪しを自分の中で評価できるようになっていた。また、現時点で就職先をどのような観点で決めたいと考えているかという事前チェック欄もあり、大しごとーく参加の前と後で、その基準がどのように変化したかも比較できるように工夫されていた。

もう1つのプログラムが、オンライン会場で開催された「ミチのり」だ。ミチのりには3つの企業と148人の学生が参加し、次の3つのテーマについてトークセッション形式で対話を行った。

(1)社会人の『責任』との向き合い方とは?

(2)院進か?就職か?その先に将来の自分像は描かれているか?

(3)社会に通用するコミュニケーションとは?

それぞれのテーマにはあらかじめ学べる内容(ミチのさき)が設定され、学生は自分が興味を持ったセッションに参加する形になっていた。例えば(1)のテーマでは、「学生においての責任と社会人においての責任の重さの違い」や「責任を負うことでかかるプレッシャーに耐える心の持ち方」などについて、企業側からリアリティのあるトークが繰り広げられた。

参加した学生からは、「仕事をする上での責任は、実際に仕事で失敗を積み重ねていきながら身につけていくことができると学んだ」や「これまでは責任から逃げることばかり考えていたけれど、若手のうちに失敗を経験しておくことで徐々に責任と向き合えるようになってくるとお聞きし、恐れずに様々なことにチャレンジしていくことが大事だと思えるようになった」といった感想が聞かれた。

画面越しの対話ではあったものの、1つのセッションに多くの学生が参加できたことで、対面会場とは違った盛り上がりを見せていた。

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