参加学生が見つけた自分の軸と、運営メンバーが得た大きな経験

参加学生に行ったアンケート調査では、8割を超える学生が就活や働くことに対するイメージが変わったと回答した。その理由としては、企業との対話の中で自分なりの基準を感じ取れたことが大きいようだ。

ある学生はアンケートで、「自分の学部とはあまり関係ないかもと思っていたが、生活の色々な場面で関わりのある企業で、とても興味を持って話を聞けた」と回答している。また別の学生は、「地元の企業でも強みがあることを知れたので、地元就職も考えたいと思った」と回答した。どちらも、それまで自分の中にあったものとは異なる基準や価値観を見つけた例だ。

他にも、「根本的に働くということに対する考え方を見直して、自分以外の利益を考えられるように就職活動に取り組みたい」など、仕事のやりがいに対しての気づきを得た学生の声も多くあった。通常、こうした気づきは就職活動が始まってから得るケースがほとんどだ。その点から見ても、大しごとーくの開催意義は大きいと言えるだろう。

また、運営メンバーの学生たちにとっても大きな経験となったようだ。企画運営チームの氏家さん(工学部2年)は「学生の皆さんと企業の皆さんを繋ぐミチを作る一員になれたと思う一方、私自身も楽しんで参加できました」と感想を述べた。広報戦略チームの浅田さん(農学部2年)は「初めて一つの大きなプロジェクトに取り組んだ。上手くいかなかったり、無力な自分を責めたりすることもあったが、運営メンバーが支えてくれた。逆に自らの長所を生かし、伸ばすこともできた。大変貴重な経験だったと思う」と振り返った。

大しごとーくはもともと、信州大学、富山大学、金沢大学の3つの大学が連携して行う次世代人材育成プログラム「ENGINE」内の取り組みの1つだ。その中では、「主体性を持った突破力のある人材の育成」が掲げられているが、この大しごとーくの運営に関わったメンバーたちは、まさにそうした人材へと成長していくのだろう。

 

大しごとーくに関わった学生たちの未来に期待を

売り手市場の今、学生は企業を選べる立場にある。あるいは、就職以外の道を選ぶことも珍しくない時代だ。しかし、自分の中の基準が定まっていなければ、せっかくのチャンスを棒に振ることになりかねない。そして、その基準は一朝一夕にできるものではなく、学生時代にどれだけ将来について考えたか、どれだけ企業や社会で働く大人たちに出会ったか、そういった様々な経験から生まれるものだ。

改めてイベントを振り返ると、363人もの学生たちが様々な企業に出会い、そこで働く人たちから様々な話を聞いた。そしてその裏には、このイベントを作り上げた学生メンバーたちがいた。彼らがこのイベントで得た気づきを今後どのように生かし、これからの学生生活や就職活動、さらにその先にある未来に繋げていくのか、大いに期待をしたいところだ。それと同時に、今後も続くこの大しごとーくがこの先どのような形になっていくのか、興味は尽きない。

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信州大学

地域社会、グローバル社会における豊かな人間力と実践力のある人材を育成

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