2026年に創立100周年を迎える大正大学。大きな節目を前に、大学教育改革を推進。その範囲は、学修環境(DX推進によるスマートユニバーシティ化:U-smart)、カリキュラム(“学生の確かな成長を段階的に実現するカリキュラム”へ・理論×実践のハイブリッド化)、入試制度(多様な人材・ニーズへの対応)など多岐にわたり、大学の在り方自体を抜本的に問い直し再構築しようとする強い姿勢がうかがえる。本記事では、2024年度入試の最新動向を詳しく聞いた。

 

総合型・学校推薦型・一般選抜まで多様な選択肢
10月~3月まで受験機会も豊富に

 「入試制度の改革は、2023年度入試から本格的に着手しました。創立100年という節目に加え、2025年度には、新学習指導要領(2022年から導入)で学んだ受験生を迎えることになります。入試全体の枠組みを見直すにはベストなタイミングとの判断がありました」。そう話すのは入試部長(アドミッションセンター長)の井上隆信氏だ。

 入試制度検討チームを学内に設置し、20回以上にも及ぶ会議では、受験生や高校側の意識を徹底して共有してきた。その結果、14種類もの入試形態を網の目のように広げつつ、10月~3月までの6ヶ月間にわたり受験機会を提供することで、多様化する受験生のニーズに応えるかたちとなった。

 「各入試のポイントとしては、まず『総合型選抜』『学校推薦型選抜』を複数回実施することで早期合格のチャンスが増えたこと。専願・併願どちらの受験も可能なので、早く合格を確保したい受験生、複数の大学にチャレンジしたい受験生にもお勧めです。次に『一般選抜』の入試日程が全部で4日間あり、自身の得意分野にあわせて2科目・3科目・4科目から受験方式を選べること。また『大学入学共通テスト利用入試』では、共通テストの自己採点結果や予備校の分析を見てからの出願や、併願大学の合格発表を確認してから入学手続きができるように、入学手続き締切り日が3月1日となっています」

 さらに2024年度入試では、 学びたい気持ちに経済面から寄り添う施策を充実させる。一つは検定料の見直しで、「大学入学共通テスト利用入試」では仮に11学科すべて出願しても検定料は定額の10000円、「一般選抜」では5学科併願まで一律30000円におさえられている。二つ目が「奨学生チャレンジ入試」だ。

【2024年度入試概要】
総合型選抜(10月)/【学校推薦型選抜】高大接続入試:公募制・専願、指定校(11月)/【学校推薦型選抜】高大接続入試:公募制・併願可、探究活動・課外活動型(12月)/【総合型選抜】自己推薦入試・併願可(12月)/奨学生チャレンジ入試(1月)/一般選抜:前期・中期・後期(2月~3月)/大学入学共通テスト利用入試/その他:宗門子弟特別入試、地域戦略人材育成入試、社会人入試・仏教学科社会人特別入試、外国人留学生試験、編入学試験

最大4年間で総額480万円の奨学金給付
【返済不要】の「奨学生チャレンジ入試」を拡充
入学後の学修・キャリアサポートも手厚く

 「3年に及ぶコロナ禍により、家庭の経済状況もさまざまな影響を受けています。本学では『親に経済的な負担をかけたくない』という優秀な学生に安心して学んでもらえるよう、2023年度入試から、返済不要の奨学金を目指せる入試を開始しました(※)。2024年度入試では『奨学生チャレンジ入試』として、奨学金は完全給付型に、さらに高額給付対象者を増やし、受験生のメリットを拡充して実施します」
※2023年度入試では、授業料減免型の「チャレンジ型一般選抜」として実施

 この奨学金は「奨学生チャレンジ入試」の成績上位100名が対象で、成績ごとに、1~20位:120万円、21~40位:60万円、41位~100位:30万円が年間で給付される。特別な申し込みは必要なく、「奨学生チャレンジ入試」のエントリー者全員が審査対象だ(奨学金給付対象とならない場合でも合格となる可能性あり)。

 「試験は一般選抜と同じく、英語・国語・選択科目の3科目、マークシート問題で行われます。試験日は、大学入学共通テストの1週間後にあたり、共通テストの見直し学習を終えて最も学力が伸びてきているタイミングです。その後の入試の腕試しという意味でもぜひチャレンジして欲しいですね」

 また「奨学生チャレンジ入試」では入学後のフォローも手厚くしているという。というのも、入試制度改革に取り組む中で、入学時の成績と在学中の成績が必ずしもリンクしないという課題が見えてきたからだ。

 「大学では、高校までの“暗記型”の学びから“アクティブラーニング”への移行が欠かせません。せっかく優秀な成績で奨学金を得ても、2年次以降、成績を維持できなくてはもったいない。学生支援部とアドミッションセンターが協力して学生をサポートしています。学習管理システム(LMS)を通じてのコミュニケーションや、対面の面談で直接学生の思いや悩み聞く場も設けるなど、大学の成績だけでなく、卒業後のキャリアまで見据えたサポートが特色です」

 出願方法はネットでの出願となり、「高校での調査書」「A4一枚の奨学金申請書」を提出してエントリーする。2023年度入試では630名が応募。奨学金申請書には、大学でどんなことを学び、将来に活かしていきたいか、しっかりとした思いが書かれていたとのこと。科目試験では300点満点の8割以上の得点が基準となる(2023年度入試参考)ため、過去問にチャレンジして、基準以上の点数が取れているようであればぜひ検討しておきたい。

2024年4月から6学部11学科へ改組
“理論×実践”のハイブリッドな学びをより重視

 創立100周年を前に“学生の確かな成長を段階的に実現するカリキュラム”へ教育改革を行ってきた大正大学。2024年度の改組では6学部11学科の教育組織に再編成し、各学部学科で養成する人材像をより明確に整理。そのうえで、全学共通教育と専門教育のより体系的な運用を可能とする枠組みの構築を目指す考えだ。

 「すべての学部学科で“理論×実践”を重視します。本学の地域構想研究所ではキャンパスのある巣鴨をはじめ全国107もの自治体と連携しており、実践のフィールドが豊富です。また、複数の学問領域の知識を融合させ、多面的・重層的な思考力を身につけていけるようカリキュラム設計されています」

 これからの新しい人材育成に向けて、大正大学の改革は着実に深化を遂げている。

 

大正大学 入試部長(アドミッションセンター長)
井上隆信氏

 

大正大学

“旅する大学”「理論×実践+フィールド」のハイブリッドな学びで地域社会に貢献できる人材をめざす

⼤正⼤学は2026年、創⽴100周年を迎えます。⽂学や歴史、福祉・⼼理、メディア、経済、政策など、6学部の学問分野で多彩な学びを展開し、地域社会に貢献できる⼈材を育成します。キャンパスは東京都豊島区にあり、池袋や巣鴨からアクセスしやすく、全学部が4年間を同じキ[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

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