スマートフォンやIoTの普及により日常のあらゆる情報がデジタル化される現代。蓄積されたデータを的確に分析し、利活用できる人材が世界的に求められている。日本国内でも、データサイエンス系学部が増加するなか、関西大学では『ビジネスデータサイエンス学部(仮称・設置構想中。以下BDS学部)』を、2025年4月に、『吹田みらいキャンパス』に開設する。関西エリアで「志願したい大学NO.1」の座を16年連続で堅持し続ける同大学の強みは「学の実化」。BDS学部では、高度なデジタルスキルを持ちながら、実際のビジネスに活かすことができるDX人材の育成を目指し、企業と連携した実践的な学びを提供していく。

 

「見えないものを見るデータサイエンスの力」と、
「ありたい未来をつくるビジネスの力」を実践で身につける

 「BDS学部が従来のデータサイエンス学部と大きく違うのは、学部名称の頭に“ビジネス”とあることです。『学の実化』を理念に掲げる本学として、IT技術だけに特化するのではなく、文理の枠を超えて、ビジネス視点で社会のデジタル化を推進していける『ビジネスデータサイエンティスト』の育成を目指したいと考えています」。そう力をこめるのは、新学部を率いる鷲尾隆教授だ。

 ありたい姿は、高度なデジタルスキルを持ちながら実際に組織を動かしていける人材、戦略をたてるだけでなく自らリーダーシップをとって組織や社会を変革していける人材だ。

 そのため、BDS学部の学びの特長は、徹底して実践的であることだ。
「1年次から、アクティブラーニングを取り入れた演習を座学と並行して行っていきます。狙いはデータ解析した結果を、身体にしみ込んだ知識やスキルに転化させていくことです。そのため、小売、製薬、物流、製造、IT系など多岐にわたる企業と連携するほか、教授陣も産学連携やアクティブラーニングの経験豊富な大学教員から、企業でデータを扱う実務家まで幅広いメンバーが揃いました」と、大きな自信をのぞかせる。

ビジネス現場の課題解決に挑む実践的なカリキュラム。
企業や社会人との接点が大きな成長につながる

最大の特長である1年次からのアクティブラーニングでは、企業における実際のビジネス課題に対し、チームで課題解決の提案までを行っていく。例えば、スーパーマーケットの売り上げのデータを解析し、購買意欲を高める売り方や消費者が手に取りやすい商品の陳列というように、現場レベルの具体的な提案にまで落とし込んでいくのだ。

「リアルなビジネス課題に向き合うことや、企業・社会人の思考に触れフィードバックを受ける場は、学生にとってプレゼンテーションスキルやコミュニケーションスキルを磨く絶好の機会。こうした課題解決プロセスの経験を4年間しっかり積むことで、机上の空論ではなく、実際の組織や社会を動かしていく力が身につくのです」

 また、カリキュラムのもうひとつの狙いは、チームで活躍できる人材の育成だ。
組織のなかで働く限り、部や課、プロジェクトなど何らかのチームとして成果を出していくことが求められる。そこで、BDS学部では1クラス20人ほどの少人数制を取り入れ、課題に応じて様々なチームを編成して演習課題に取り組んでいく。

「組織には様々な志向の人がいます。自分とは異なるバックボーンを持った人とも組んで仕事をしなければなりません。BDS学部では、ビジネス思考の学生やデータ分析に強い学生など、自分とは異なる視点を持った学生同士が一つのチームとなって課題に取り組みます。4年間の実践を通じてチームワークも磨かれるでしょう」

 多様な価値観を尊重し、チーム力を高めていける能力こそ、新たな価値創造や社会変革を生み出す源泉となるはずだ。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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