産業技術総合研究所と九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センターは5月11日、共同で次世代型の有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子用の発光材料として注目される熱活性化遅延蛍光(TADF)を出す分子(TADF分子)の発光メカニズムを解明したと発表した。

 近年、軽量でフレキシブル、高輝度、高精細、低消費電力などの特徴を合わせ持つ新しいディスプレーや照明用面状光源として有機ELが期待されている。しかし、発光効率を高めるためのりん光材料は、コストがかかる上に資源的にも不利である。このため、高効率で低コストの次世代有機EL材料の開発が望まれている。

 今回、両者は九州大学が設計・開発した有機分子について、ポンプ・プローブ過渡吸収分光法を用いてそれらの発光メカニズムを詳細に解明すべく研究を行った。特に、これまでの研究では見過ごされてきた各分子の一重項状態と三重項状態の種類(励起種)とエネルギーに着目して検討を行った。8種類の分子について有機ELの発光量を調べたところTADFを強く発光する分子群は全てパラ体であり、この分子構造がTADFの発光に関与していることを示唆していることがわかった。

 これらの結果、さまざまな発光色で高い発光効率と材料の耐久性を兼ね備えたより高性能なTADF分子を探索・作製できるものと考えられ、有機ELデバイスの大きな低コスト化、ひいては有機半導体レーザーなどの次世代光デバイスの実現が期待されるとしている。

 今後はTADF分子の励起状態変換過程をさらに詳細に観察し、励起状態の変換が高効率に起こるTADF分子の体系的な設計指針を構築する。また、これらの知見をTADF分子の設計にフィードバックし、高い発光効率と耐久性を併せ持つTADF材料の開発を支援するとしている。

九州大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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