北里大学病院は抗寄生虫薬「イベルメクチン」の新型コロナウイルス感染症適用で、治験患者確保のコールセンターを設置した。コロナ禍で確保が進まない治験患者を増やすためで、東京都医師会の協力を得てコールセンターが都内で治験患者の確保に努める。
北里大学病院によると、治験患者の確保は都内の個人病院を訪れた新型コロナウイルス感染症の疑いがある患者を個人病院が紹介し、治験への参加を希望する患者に対し、コールセンターが情報提供する仕組み。同時にコールセンターが治験条件に照らし合わせた患者の1次選別も行う。当面は治療実施医療機関に近い港区と杉並区でスタートし、その後都内全域に展開する。
イベルメクチンは既存の抗寄生虫薬で、北里大学の大村智特別栄誉教授が寄生虫などの神経に強く作用し、ヒトの神経にほとんど影響しない化合物を発見、米製薬会社のメルクが商品化した。一部の国で新型コロナの治療目的で使用されているが、効果を確認する大規模な治験はどの国でも行われていなかった。
北里大学病院は2020年9月から新型コロナ適用の治験を始めたが、コロナ禍の医療ひっ迫で十分な対応ができず、6月時点の登録症例数は予定の半数をやっと超えた状態にとどまっている。
参考:【北里研究所】新型コロナウイルス感染症に対するイベルメクチンの医師主導治験、患者リクルートを目的としたコールセンターを設置しました