神戸大学のグループは、複数のゲノムデータベースを用いて民族ごとの「ギッテルマン症候群」の有病率を推算した結果、日本人では他民族より特に多く、これまで考えられてきた有病率よりもはるかに多くの患者が存在する可能性があることを明らかにした。

 ギッテルマン症候群は、遺伝子異常により生じ、命に関わるような重篤な症状は認めないものの、易疲労感や筋力低下、夜尿、塩分嗜好などをきたす遺伝性尿細管疾患である。血液中のカリウムなどの電解質のバランスが取れなくなることによる症状で生活の質を著しく低下させるが、特異的な症状はなく、本疾患を疑って血液検査を行わないと診断ができないため、適切な治療を受けられていない患者が多く存在する可能性があるという。

 保因者頻度は約1%、有病率は約4万人に1人といわれるが、正確な数値は不明である。そこで本研究では、複数のヒト遺伝子データベースを用い、各民族における病原性を有する遺伝子変異の頻度を調べ、ギッテルマン症候群の保因者頻度と有病率を推定した。

 その結果、推定保因者頻度は日本人で約9%、その他の民族で0.7~5.8%だった。また、1000人あたりの推定有病率は日本人で約2人、その他の民族で0.012~0.8人だった。病原性が未確定の変異を除外した場合でも、日本人での推定保因者頻度は約8%、有病率は1000人に約1.7人であり、他民族よりもはるかに高かった。

 このことから、ギッテルマン症候群の真の有病率は既報の数値よりも高く、より身近な疾患であり、日常生活に支障をきたすような症状に長年苦しみながらも見逃されている潜在的な患者が多く存在する可能性が示唆された。本研究結果は、今後の適切な検査・治療の推進により患者のQOL改善へとつながることが望まれる。

論文情報:【Scientific Reports】Examination of the Predicted Prevalence of Gitelman Syndrome by Ethnicity Based on Genome Databases

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