神戸大学の研究グループは、2021年7月19日から8月6日にかけて兵庫県健康財団(神戸市兵庫区)において健康診断を行った1,000人の血清中に含まれる新型コロナウイルスに対する抗体量を解析した。その結果、新型コロナウイルスに感染歴があると考えられる人の割合は、2020年10月時点の同様の調査と比較して、5倍に上昇していることなどがわかった。

 報告によると、ウイルスに感染することで獲得される(ワクチン接種では獲得されない)Nタンパク質に対する抗体の保有率は、1,000人中21人で2.1%だった。この結果は、解析時におけるPCRに基づいた新型コロナウイルスの感染率が兵庫県で0.85%、全国で0.80%だったのに対し、実際にはその2.5倍の人が感染していたことを意味する。また、2020年10月に同じ兵庫県健康財団において健康診断を行った1,000人では、Nタンパク質に対する抗体保有率は0.4%だったことから、今回の結果は、その5倍にあたる。

 一方、ワクチン接種で獲得されるSタンパク質に対する抗体の保有率は38.7%だった。兵庫県における2021年8月6日時点のワクチン接種率は、一回目接種が42.10%、二回目接種が32.85%であったことから、この数値を概ね反映している結果だ。

 特に60歳以上の高齢者では、Sタンパク質に対する抗体保有率が74.4%と高く、逆にNタンパク質に対する抗体保有率は低くなっていた。高齢者に対して行われたワクチンの優先接種の結果を反映しているといえそうだ。

 新型コロナウイルス感染者の40%以上が無症候(不顕性感染)であると考えられており、PCRや抗原検査だけでは、実際のウイルスの広がりを見誤る可能性がある。本研究による血清中の抗体保有率の大規模調査は、より信頼性が高く、新型コロナウイルスの広がりとワクチン接種との関係を示す貴重なデータとなると考えられる。

論文情報:【medRxiv】Large-scale seroepidemiologic surveillance of COVID-19 – Cross-sectional study in Hyogo prefecture of Japan in August, 2021

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