九州大学大学院の赤司浩一教授らの研究グループは、新型コロナウイルスワクチン2回目接種後に発熱した人は抗体価が高い傾向にあることを明らかにした。38度以上の高熱の人は、37度未満の人より抗体価が平均約1.8倍だった。また、副反応出現後に解熱鎮痛剤を使用しても免疫は十分に獲得されていた。
ファイザー社のメッセンジャーRNAワクチンは、新型コロナウイルスワクチンとして日本で最初に認可された。有効性が高いが、発熱などの副反応の出現頻度が比較的高いとされ、症状軽減のため解熱鎮痛剤を使用する例も多い。しかし、副反応の程度とワクチン接種後の抗体反応の強さの関係性や、解熱鎮痛剤の使用が抗体反応に及ぼす影響など、十分に調査されてはいなかった。
研究グループは今回、福岡市民病院の協力により、職員335名を対象にファイザー製の新型コロナウイルスワクチン2回接種後の抗体価を測定し、副反応の程度や解熱鎮痛剤の内服状況を調査した。
解析の結果、副反応の程度に関わらずワクチン2回接種で十分な抗体反応が観察されたが、ワクチン2回目接種後に発熱を認めた人は、そうでない人よりも抗体価が高い傾向にあり、中でも38度以上の高い発熱を認めた人は37度未満であった人と比較して平均約1.8倍の抗体価が認められた。また、副反応出現後であれば、標準的な解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン、ロキソプロフェンなど)を使用してもワクチン接種による抗体反応への悪影響は認められなかった。
今回の研究結果は、副反応を恐れて新型コロナウイルスワクチン接種を控えている人に、副反応に関する正確な情報を提供し、ワクチン接種に関する認識の向上に資する可能性があるとしている。