経済産業省と特許庁は企業と大学が共同研究契約やライセンス契約を結ぶ際のひな形になるモデル契約書を作成した。過去の事例を参考に企業と大学の双方に不公平感がない契約内容を提案したもので、契約を円滑に進めてイノベーション創出に役立てるのを狙いとしている。

 経産省によると、モデル契約書ではスタートアップ企業と大学との契約で事業の先行きに不透明感があるスタートアップ企業が不利になりがちな点を考慮し、大学の特許を使ってスタートアップ企業が事業を始める際、ライセンスの対価としてスタートアップ企業が新株予約権を大学に譲渡し、事業成功時に大学が報酬を得られる契約を提案している。

 大企業と大学の共同研究では、大学が受け取る共同研究費が研究の対価に見合わないとの指摘があることを踏まえ、研究者が企業との研究にかかわった時間ごとの報酬や成功報酬を明記することを提案している。

 モデル契約書は知財や法務の専門家を集めた有識者会議で議論して作成した。その中で産学連携をコストではなく、価値への投資と位置づけ、「知」の値付けを契約条項に落とし込む方向で提案を取りまとめている。

 経産省と特許庁は2020年、スタートアップ企業と大企業のモデル契約書の新素材編をまとめた。2021年にはスタートアップ企業と大企業のモデル契約書AI編を公表している。

参考:【経済産業省】オープンイノベーション促進のためのモデル契約書(大学編)及びモデル契約書(新素材編・AI編)ver2.0を取りまとめました

大学ジャーナルオンライン編集部

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