地方創生を目的とした東京23区内の大学定員抑制を早期に撤廃するよう求める緊急要望を、東京都が岡田直樹デジタル田園都市国家構想担当相に提出した。規制が学生の学びと成長の機会を奪うだけでなく、大学の国際競争力を低下させかねないと指摘している。

 東京都によると、緊急要望は大学定員抑制を含む地方大学振興法の見直しが政府の有識者会議によるあと2回の審議で取りまとめされるのを受け、小池百合子知事名の文書で提出された。

 文書では、2002年に工場等制限法が廃止されて以来、東京都の学生数が増加しているが、これは東京近郊出身者によるもので、地方から東京へ向かう進学者数の増加がないとして、合理性を欠く規制であると指摘している。そのうえで、デジタル人材など社会の発展に必要な高度専門人材の育成を進めることの足かせになっているとして、規制を撤廃してデジタル人材の育成を全国で推進する体制を構築するよう要望している。

 政府の有識者会議は大森昭生共愛学園前橋国際大学学長、増田寛也日本郵政社長、曄道佳明上智大学学長ら7人の有識者で構成され、9月に初会合を開いた。今後、2回の会合を経て法施行状況に関する取りまとめをすることになっている。

参考:【東京都】東京23区の大学における定員抑制等に係る緊急要望(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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