東京都は小池百合子知事名の文書で政府の岡田直樹デジタル田園都市国家構想担当相に対し、東京23区内で進められている大学の定員抑制について早急な見直しを要望した。日本の持続的発展のためには定員抑制の早期撤回が必要と強調している。

 都によると、都は東京23区内の大学定員抑制が時代を担う人材を育成し、イノベーション創出に極めて重要な役割を果たす大学に対し、制限を課して学生の選択や大学経営の自由を縛っていると主張。定員抑制が学生の学びと成長の機会を奪うだけでなく、大学の教育・研究体制の改革を滞らせて大学の国際競争力低下につながりかねないと訴えている。

 通信技術の向上やコロナ禍で多様化したライフスタイルなど、社会情勢の変化を考えると、この規制が明確に合理性を欠いているとも批判した。

 政府は有識者会議を設置し、法律の施行状況などを検討する方針だが、都は有識者会議で規則の運営状況と効果について適切な検証と検討を行い、早期撤回を含めた必要な見直しを進めるよう要望している。

 東京23区内の大学定員抑制は人口の東京一極集中を是正し、地方創生を実現する目的で2018年にスタートした。期間は10年間。都への人口流入はコロナ禍で歯止めがかかったものの、東京一極集中の是正や地方創生に対する定員抑制の効果に関しては疑問視する声も出ている。

参考:【東京都】東京23区の大学における定員抑制等に係る要望(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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