熊本大学、京都大学、大阪大学、名古屋大学が共同で世界最強のKUMADAIマグネシウム合金の形成機構を解明しました。過去にも当サイトで紹介したKUMADAIマグネシウム合金(熊本大 世界最強のマグネシウム合金ワイヤーを開発)についての続報です。
金属中でどのようにして原子の配列が形成されるのかを解明する一番の方法は原子の動きを一コマ一コマ撮影していく事です。溶融した合金を急冷することで、原子が動いている途中の状態で固めることができます。さらに融点よりわずかに低い温度に加熱することで原子はゆっくりと動きます。少し動かしては固める操作を繰り返すことで、変化していく様子をコマ送りで観測することに成功しました。この1コマ1コマを高エネルギー加速器研究機構(KEK)の計測装置で測定しました。その結果、マグネシウムの中でイットリウムと亜鉛の原子が小さな塊を形成した後、その塊が綺麗に整列するという2段階の変化の様子を観察することに成功しました。
頑丈な材料の形成機構が明らかになったことで、さらなる高機能化を目指した研究にもつながるでしょう。またこうした2段階で金属の状態が変化する例はこれまでに報告がありませんでした。これをさらに詳細に解析することで固体内で原子の並びが変化していく現象について新たな知見が見いだされることも期待できます。