東北大学学際科学フロンティア研究所の鹿山雅裕助教と神戸大学、京都大学、広島大学、海洋研究開発機構、高輝度光科学研究センターの共同研究チームは、月の隕石から水なしで生成できない鉱物のモガナイトを検出した。共同研究チームは超低温となる地表数メートル以下の地下で水が氷として埋蔵されている可能性が高いとみている。
東北大学によると、モガナイトは石英と同様に二酸化ケイ素を主成分とする鉱物で、アルカリ性の水に溶けたケイ素が高温高圧下に置かれると、水の蒸発と同時にケイ素が酸素と結びつき、生成される。水が豊富な地球上では広く産するものの、地球以外の天体に存在しないと考えられていた。
鹿山助教らは北西アフリカなどで見つかった月の隕石13個をレーザー分析などで調べたところ、そのうちのNWA2727と呼ばれる1個からモガナイトを検出した。共同研究チームは水を豊富に含む天体がウサギに見える影模様がある月のプロセラルム盆地に衝突することで、水が供給されたとみている。
月の表面は日中100度を超す高温で水が蒸発するが、地下数メートルだと超低温になるため、氷が残るともいわれている。氷の埋蔵量は岩石1立方メートル当たり18.8リットルに達するとみられ、月の地下に大量の氷が存在する可能性が示された。