東海大学の学生ロケットプロジェクトは、2023年3月4日(土)、北海道大樹町の商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」でハイブリッドロケットの打上げ実験を実施し、成功した。

 東海大学の学生ロケットプロジェクトは、宇宙技術者を目指す学生が実践的な知識や技術を得ることを目的としたプロジェクトで、1995年に発足。大樹町では2004年から年に1回実験を行っているが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、5年ぶりの実施となった。

 今回の打ち上げ実験は、学生たちがロケットの打上げ経験を得るとともに、最終目標の高度100㎞以上の宇宙到達に向けて次機体以降の開発方針を明確にし、確実な打上げとロケット回収後の解析を図り、数年後の超音速機につながる技術実証を行うことが目的。今回打ち上げた「ハイブリッドロケット57号機」は全長2.045m。市販のGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)チューブを主体としたモジュール構造で、アルミニウム合金製のリングで6個のモジュールを結合した機体。前回の打ち上げの反省から強度を高めた機体に改善し、無事に打上げに成功。機体は予定通りエンジンを燃焼し、打上げ後9.32秒で高度416.45mまで到達。その後、パラシュートを開傘させ、射点から北北東440mの地点に落下し、機体を回収できた。

 実験を行った「北海道スペースポート」はアジア初の民間企業にひらかれた商業宇宙港として大樹町が整備、運営しており、1,000mの滑走路やロケット発射場などを使った航空宇宙分野の実験が多数行われている。2021年度はインターステラテクノロジズ株式会社、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、株式会社 SKyDrive、電気通信大学、三菱重工業株式会社、室蘭工業大学などがロケット打上げ、大気球、空飛ぶクルマ、ドローンなど延べ30件の実験を行った。

 「北海道スペースポート」は今後も新たなロケット発射場Launch Complex-1(LC-1)の整備(2023年度完成予定)や滑走路の300m延伸(2024年度完成予定)など実験環境の整備を進め、大学や民間企業、団体を積極的に受け入れて航空宇宙実験の聖地として航空宇宙分野の研究開発や産業の発展に貢献していく。

参考:【北海道スペースポート】東海大学の学生によるロケット打上げ実験が成功しました

東海大学

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。