京都大学医学研究科のグループは、皮膚の表面にあるTRAF6という細胞内シグナル伝達物質が、乾癬(かんせん)の発症や持続に必須であることを発見し、新しい治療の標的になりうることを示した。

 乾癬は、全身のあちこちの皮膚が赤くなって平たく盛り上がり、表面に銀白色の乾いた角質が分厚くつみ重なってポロポロとはがれ落ちる慢性の皮膚疾患である。免疫のはたらきを抑える抗体を繰り返し、永続的に注射する治療が効果を上げているものの、患者1人あたりの年間の治療費が200~600万円もすること、そして、使っているうちに2,3割の患者で効かなくなる場合もあることから安価で安全な新しい治療方法が求められている。

 今回、同研究グループは、表皮で乾癬がおこる原因物質としてTRAF6という細胞伝達シグナルに注目し、表皮でTRAF6を欠損する動物に、実験的に乾癬の発症の誘導を試みた。その結果、TRAF6欠損マウスでは、乾癬に特徴的な免疫の異常活性化は起こらず、乾癬を全く発症しないことを突きとめた。つまり、身体内部の免疫異常ではなく、皮膚表皮のTRAF6が乾癬の発症に必須であり、また、異常な免疫活性化の悪循環による乾癬の持続にも関わっている物質であることを見出した。

 本成果から、皮膚表皮においてTRAP6が抗体医薬に変わる新しい治療標的として乾癬の症状を改善することが期待される。現在、同研究グループは、製薬会社らとの共同研究で、TRAF6 を標的とする新しい治療薬の開発にとりくんでいる。

論文情報:【JCI Insight】Epithelial TRAF6 drives IL-17–mediated psoriatic inflammation

京都大学

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