龍谷大学は京都市、生理用ナプキンの無料提供設備「OiTr」を運営するオイテル株式会社と連携して京都市立学校に「OiTr」の設置を試行し、児童生徒への保健指導にも活用する。「OiTr」の公立学校への設置は全国でも初の試み。

 2023年5月23日(火)より東山泉小中学校(東山区)、西京高等学校附属中学校、西京高等学校(ともに中京区)に「OiTr」を設置し、児童生徒が利用を始めた。学校での使用にあたり、生理用ナプキンを配付するとともに設備付属のデジタルサイネージにて月経等に関する知識や情報の周知啓発につながるような教育的コンテンツを配信。児童生徒が月経等について正しい知識を得られ、一人で抱え込まずに相談しやすい環境づくりを図る。

 この取り組みを開始することになったのは、女子中高生を対象に行った先行調査や龍谷大学の学生へのヒアリングで、若年層への月経等に関する知識や情報について周知啓発の必要性を認識したことが背景にある。

 千葉県の中学校・高等学校で女子生徒608人を対象に行われた調査※によると、女子生徒の80%が「月経により勉強・運動への影響を受けている」と回答。また、そのうちの約30%は「月経の不調について相談しない」ことが明らかになっている。さらに、龍谷大学学生へのヒアリングにおいても「生理は人によっても重さが異なるため、親にも相談しにくい」「生理について情報が少ない、知らない」という意見があがった。これらのことから、龍谷大学と京都市教育委員会及びオイテルは協議を重ね、今回の取り組みを実施することになった。

 龍谷大学では、2020年11月に学生が発表したビジネスアイデア「生理に関する正しい情報発信」をきっかけに、2021年6月、ソーシャルビジネスの地域実装化に向けた研究や社会活動の支援、担い手育成などに取り組む「龍谷大学ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター」にて生理の貧困の解決に向けた取り組みを開始。その後、オイテルと「ジェンダーギャップ・経済的格差の解消に向けた取り組みを推進する連携協定」を締結し、学内への「OiTr」設置や教育的コンテンツの開発、配信を実施してきた。

 また、京都市立学校では、これまでも月経に関する困りごとを抱える児童生徒に対して、保健室等において生理用ナプキンを配付して保健指導を行うほか、授業等において月経等に関する内容を取り扱ってきた。

 今後は試行設置した機器の運用状況の調査、関係者への聞き取り等も踏まえ、月経等に困りごとを抱える児童生徒への効果的な支援を進める。また検証結果をもとに、市内で設置を希望する他の学校への「OiTr」の展開を検討する。

※平成28年度スポーツ庁委託事業「子供の体力向上課題対策プロジェクト 月経関連疾患と学校生活」(子宮内膜症情報ステーション)

参考:【龍谷大学】京都市・オイテル(株)・龍谷大学が連携 全国初、公立小中学校・高等学校への生理用ナプキンの無料提供設備「OiTr」を試行設置

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