北海道大学が提案、策定したがん放射線治療の予後予測情報にかかわる規格が、国際標準化機構から国際規格として認められた。放射線治療を受けた場合に予測される腫瘍制御確率や正常組織への有害事象発生確率など予後予測情報をレポートするための技術報告書で、これを利用することで放射線治療の個別最適化が期待される。
北海道大学によると、国際規格の策定は北海道大学大学院医学研究院の白土博樹教授と小橋啓司特任准教授らが提案、小橋特任准教授のプロジェクトで海外の専門家と協力して策定した。
がんの放射線治療は通常のX線に加え、強度変調放射線や粒子線などを使用した新しい治療法が登場してきた。その結果、がん患者それぞれに応じた治療方法の使い分けや副反応が出る可能性が高い臓器近くのがん治療が可能になりつつある。しかし、高度な放射線治療は高コストで、治療を受けた場合の恩恵が高い患者を見分ける必要が出ている。
そこで、北海道大学は数理モデルで予測した放射線治療予後予測情報のレポートにかかわる国際規格が必要と判断し、国際標準化機構の技術委員会で策定を提案した。策定した規格は国際投票で93%の賛成を得た。
国際規格は5月末に正式に発行され、オンラインで販売が開始されている。白土教授らは国際規格を活用することで限られたリソースの中でより適切に高度放射線治療を提供できるとしている。