株式会社ミルボンは、育毛成分の探索のため、ヒトiPS細胞を活用し、毛髪関連遺伝子の発現上昇を指標とした育毛研究を行い、効果成分を見出した。さらにこの成分は、大阪公立大学とミルボンの共同研究部門である『薬物生理動態共同研究部門』において、ヒト毛包組織にて毛髪の伸長を促進させることを確認した。

 毛母細胞は毛包幹細胞が分化(特定の機能を持つ細胞に変化)することで生まれる。そのため、毛包幹細胞から毛母細胞への分化を促進する成分を発見できれば、これまでとは異なる新たなメカニズムでの育毛効果が期待できる。しかし、毛包幹細胞は取り扱いが難しく、そのものを用いた育毛研究は困難だった。

 そこで今回、毛包幹細胞と同じく幹細胞の一種であり、近年になって再生医療の分野で研究が進められている「ヒトiPS細胞」を活用し、毛髪形成に関する遺伝子の発現量を指標とした育毛成分の探索を行った。

 ヒトiPS細胞に複数の植物エキスをそれぞれ添加することで、毛髪形成に関する遺伝子(KRT31)の発現量を上昇させる2種の植物エキスを選定した。実際の育毛効果を確認するため、手術後の余剰頭皮から単離・器官培養した毛根部の組織を用いた検証を行った。その結果、トウキ根エキス、モウソウチクたけのこ皮エキスは毛髪を伸長させることが分かった。これにより、ヒトiPS細胞を活用した育毛成分選定手法の信頼性が確認された。

 トウキ根エキス、モウソウチクたけのこ皮エキスを配合した頭皮用美容液を毎日使用して頭皮ケアを行った結果、細毛の改善や、抜け毛の減少効果が確認できた。さらに、分け目が目立たなくなった実効例、生え際の産毛の増加がみられた実効例も確認された。

参考:【大阪公立大学】ヒトiPS細胞を用い、育毛研究へ新たなアプローチ ~トウキ根エキスとモウソウチクたけのこ皮エキスが毛髪伸長効果を有することを確認~

大阪公立大学

2022年4月、大阪府立大学と大阪市立大学を母体とした「大阪公立大学」が開学

大阪公立大学は、2022年4月より、大阪府立大学と大阪市立大学が統合し開学しました。ともに約140年の歴史ある大学で、12学部を擁す総合大学で、学生数は約1万6千人。全国最大規模の公立総合大学です。大都市大阪に人や社会、都市、世界を結びつける新たな"知の拠点"[…]

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