筑波大学の合原一究助教、大阪大学の村田正幸教授らの研究グループは、ニホンアマガエルの合唱の法則性を実験的・数理的に研究し、その成果を無線センサネットワークの自律分散型制御に応用した。

 夜行性のカエルにとって、鳴き声は繁殖やコミュニケーションにとって重要だ。大きな声で鳴くのはオスで、バラバラではなくある種の規則性をもって鳴く。研究グループは、オスのニホンアマガエルの録音データを解析した結果、「オス同士が鳴くタイミングをずらす」という先行研究の結果に加え、長い時間スケールでみると「鳴いている区間を揃える」という性質を見出した。次に、個々のカエルは鳴くたびにエネルギーを失い、かつ疲労度が増すという仮説を立てた。その上でエネルギーと疲労度、周囲で鳴いているオスの有無によって発声状態と休止状態を確率的に切り替える数理モデルを提案し結果を定性的に再現した。

 さらに、このカエルの合唱モデルを無線センサネットワークの自律分散型制御(各端末の個別判断による制御)に応用。100台のセンサ付き無線端末が置かれている状況を考え、合唱モデルに従って端末ごとに通信タイミングを制御した。この数値シミュレーションから、「近くの端末同士はパケット衝突(データの同時送信による受け渡しの失敗)を回避しつつ、全体としては一斉に通信状態と休止状態を切り替えられること」が判明。この性質により、近くの端末同士のパケット衝突の回避性能に加えて、ネットワーク全体の接続性と省エネルギー性能の向上が可能だ。

 これにより生物の集団行動に関する基礎研究としての成果と、生物に学ぶ新しい技術(バイオミメティクス)としての展開が期待される。

論文情報:【Royal Society Open Science】Mathematical Modelling and Application of Frog Choruses as an Autonomous DistributedCommunication System

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大学ジャーナルオンライン編集部

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