日本の認可保育施設における子供の重傷事故の発生率が、2017年から2021年にかけて2.0倍となっていることを、京都大学と東京大学の共同研究者らが明らかにした。

 近年、保育施設での事故(死亡事故を含む)に関する報道が増えている。この状況を受け、本研究グループは、日本の認可保育施設における子供の重傷事故の発生率の傾向を調査し、対策を立てるための一助とすることを目的に研究を開始した。

 内閣府が公開した全国統計データである「教育・保育施設等における事故情報データベース」、「認定こども園に関する状況について」、厚生労働省が公開した「保育所等関連状況取りまとめ」を使用し、2017年から2021年の日本全国の特定地域型保育事業、認定こども園、認可保育所などを含めた各種認可保育施設に関するシリアルクロスセクショナルスタディと中断時系列分析研究を実施した。その結果、日本の認可保育施設における子供の重傷の年間発生率は、2021年に100,000人年あたり58.3件で、2017年の2.0倍に増加していることが明らかになった。

 なお、COVID-19パンデミックが重傷事故に及ぼす影響も検証したが、重傷発生率はCOVID-19パンデミック開始前に増加傾向が見られており、パンデミックの影響は明らかでないとしている。

 本研究成果は、認可保育施設で発生している子供の重傷の現状をデータに基づく科学的な検証で明らかにしたことで、具体的な対策を講じるための基礎資料となることが期待される。ただし、認可外保育施設の重傷については検証できていないため、今後は認可外保育施設も含めた継続的なモニタリングや安全性向上に向けた取り組みが求められる。

論文情報:【Pediatric International】Children’s injuries in legislated types child-care institutions

大学ジャーナルオンライン編集部

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