東京理科大学生命医科学研究所の岩倉洋一郎教授のグループによる研究で関節リウマチが発症する新しい仕組みが解明されました。関節リウマチは自己免疫疾患の一種で、関節に炎症を引き起こします。単にリウマチというと関節リウマチのことを指します。30代から50代の女性に多く発症することが分かっており、仕事や子育てが最も忙しい40代での発症が多い病気です。原因となる細胞の候補はありましたが決定的な証拠は得られずにいました。
岩倉教授らはマウスを用いた実験で、リウマチに関与すると考えられている細胞の働きを観察しました。カギとなるのはIL-17というたんぱく質を作り出す細胞です。IL-17はインターロイキン(IL)と言われるたんぱく質の一種で、体内の免疫機能を担う細胞はILを受け取ることで活性化し、外敵への攻撃を開始します。自己免疫疾患や免疫不全ではインターロイキンが不必要に分泌されたり、逆に分泌されなかったりということが原因で起こると考えられています。これまで関節リウマチを引き起こす原因としてIL-17が候補に挙がっていましたが、今回のマウスを用いた実験ではIL-17を受け取った白血球が関節を攻撃することで炎症を引き起こしていたのです。
この成果を基に薬品によってIL-17の生産や分泌を抑えたり、白血球がこれを受け取るのを妨害することができれば関節リウマチの新しい治療法につながるかもしれません。また、IL-17が原因となって引き起こされる他の疾患(乾癬や多発性硬化症など)の治療法にもつながるのではないかと期待されています。