蕁麻疹では、その病型や個々の患者さんによって、様々な形や大きさの発疹(膨疹)が現れる。皮膚の発赤を伴う腫れが短時間のうちに現れたり消えたりするという特徴は共通だが、虫刺症様、環状、花びら状、あるいは線状などの形をとり、大きさでは粟粒ほどから手のひらサイズを上回るほどまで多様だ。
これまで、その多様な形態がなぜ、どのようにして形成されるかは、よく分かっていなかったという。

 一方、数学的手法である「反応拡散モデル」は、どこか一部で起きた反応が次の反応を起こし、それが次々と拡散する仕組みが説明できる。蕁麻疹で観察される膨疹は、病型によらず、皮膚マスト細胞から放出されたヒスタミンが血管に作用して形成されることが知られており、今回、広島大学の研究グループは、膨疹の形とその変化を、反応拡散モデルを用いて解析することにした。

 本研究者らは、蕁麻疹で見られる膨疹の多様な幾何学的形態を、数理モデルで再現することに成功した。また、そのモデルを分析したところ、膨疹の形成には、従来から考えられてきたヒスタミンの作用(正の作用)だけでなく、それを打ち消す抑制性の作用(負の作用)が関与することが予測されたという。

 数理モデルから予測される抑制系の分子や機序が、生物学的手法により同定されれば、蕁麻疹の病態理解が進み、ひいては膨疹の形態分析に基づく新たな病型分類や治療法の確立につながる可能性がある。また、特徴的な形の発疹が現れる蕁麻疹以外の皮膚疾患についても、数理モデルによる数学的解析を通じて新しい可能性が開けるかもしれない。

論文情報:【PLOS Computational Biology】A Single Reaction-Diffusion Equation for the Multifarious Eruptions of Urticaria

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