東京理科大学理工学部の大宮喜文教授は東京大学、横浜市消防局、VR(バーチャルリアリティ)製品開発の理経と連携し、消防隊員の教育訓練に特化したVR消防教育訓練システムを構築するため、実火災に近い条件を設定した燃焼実験でデータを収集した。
東京理科大学によると、燃焼実験は東京理科大学火災科学研究所の実験施設で2月28日、3月6日の2日間、実火災に近い条件下で行い、温度や煙の濃度分布、火災の挙動などを調べた。取得したデータは教育訓練システムの中で時間経過とともに変化する火災現象を正確に再現するために利用する。
全国の消防署では、ベテラン隊員が定年退職して経験の浅い若い隊員が急速に増えているが、火災件数が年6~8%減少し、若い消防隊員が現場で経験を積む機会が少なくなっている。
VR消防教育訓練システムは現場経験の代わりになるもので、若手の消防隊員が限りなく現場に近い環境下で経験を積むことにより、現場でないと知ることが難しい知識や感覚の習得や消防活動の質向上を目指している。このシステムは横浜市消防局が採用し、若手隊員の教育に導入することを計画している。