新型コロナウイルスの感染が広がる中、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の取り組みが話題だ。

 例えば、非線形・非平衡物理学ユニットを率いるマヘッシュ・バンディ准教授は、「N95帯電フィルターマスク」のように帯電層でウイルス粒子をブロックするマスクのユニークな製造法を開発した。「綿あめ製造機」に、カーバッテリーを使って電圧をかけ、砂糖の代わりにペットボトルの粉砕粉を注いで回転させることで、帯電ナノファイバーの生地ができるのだ。これを用いれば、医療用と同レベルのフェイスマスクを一般的な材料だけで作成することができる。

 また、「OISTジェル」と呼ばれるアルコールジェルの供給プロジェクトも進んでいる。イソプロパノールを原料とし、OISTの研究者とその他の部署から集まったボランティアが,ジェル作り、ボトル詰め、ラベルデザインまで行う。少なくとも400リットルの製造を目指しているといい、地元の恩納村や沖縄県内のリスクの高い場所に寄贈される予定だ。

 さらに、数理力学と材料科学ユニットおよびマイクロ・バイオ・ナノ流体ユニットからなる研究チームは3Dプリントのフェイスシールドを製造し、フェムト秒分光法ユニットのチームは紫外線C波(UVC)ライトを使用したマスクの殺菌装置を設計・構築した。フェイスシールドは沖縄県内の病院に配布される準備が間もなく整う。殺菌ユニットも最初の数装置が那覇市の病院に納入されており、現在さらに構築が進む。

 OIST研究者らの専門性を活かしたこうしたプロジェクトは、地元沖縄への確かな貢献となっている。

参考:【沖縄科学技術大学院大学】新型コロナウイルス:OIST研究者による地元沖縄への貢献

大学ジャーナルオンライン編集部

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