2016年2月25日、土地や施設の有効活用プロジェクトを表彰する日本ファシリティマネジメント大賞授賞式が開催され、東洋大学(東京都文京区)が最優秀賞を受賞しました。受賞対象となったのは、岩手県紫波町が推進している「未利用地における官民複合開発 オガールプロジェクト」で、JR紫波中央駅前の町有地(約10ヘクタール)を官民の複合施設や運動施設、公共施設、宿泊施設などに整備した事業。同プロジェクトは、PPP(Public Private Partnership ※1)を活用して開発を行い、事業としてもまちづくりとしても成果を出しました。

 同大学大学院 経済学研究科公民連携専攻(※2)は、同プロジェクトにおいて原点となるPPP可能性調査を2007年に実施。同エリアが町(人口3万人)だけでなく、北の盛岡市から、南の花巻市・北上市を結ぶ60万人の中心に位置し、さまざまなPPP事業の可能性があることを明らかにしました。また現在、現場で活躍している町公民連携室長 鎌田千市氏(同専攻2期生)、オガールプラザ株式会社 代表 岡崎正信氏(同専攻1.5期生)をPPPのプロとして大学院で育成したことなどを評価され、サービス提供者として受賞。

 大学がこの種の受賞対象になることは極めて珍しいことで、表彰式の講評の中で審査委員長である東京理科大学 沖塩荘一郎名誉教授は「紫波町の成功のポイントとして、東洋大学の大学院に職員を派遣して公民連携を学ばせたことが大きい。」と評価。また、同町の熊谷町長は、翌26日に同大学大手町サテライトにおいて記念講演を実施し、「この成功に続き町全体をリノベーションしていく、そのためにも東洋大学とのつながりをさらに強めたい」と語りました。

 なお、同プロジェクトは、2013年度土地活用モデル大賞の「国土交通大臣賞」も受賞しています。

※1 行政と民間がパートナーを組んで事業を行う「官民連携」のこと。民間事業者が政策などの計画段階から参加するという考え方で、行政が民間に単に資金協力のみを行うPFI(Private Finance Initiative)とは異なる。メリットとしては組織運営の効率化、安全性の確保や責任の明確化などが挙げられ、NPO、大学、地域などの幅広いコミュニティが政策や事業の検討に参加し連携することが特徴。

※2 PPPに関連する理論、知識、実践手法を学ぶ社会人向け大学院。2006年度に開設され、官民の人材を育成している。

大学ジャーナルオンライン編集部

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