株式会社日経BPコンサルティングは、14年目になる「大学ブランド・イメージ調査 (2020-2021)」の結果をまとめた(調査実施は2020年8月)。調査では、全国9地域457大学について、各大学の認知やイメージなどを尋ねた。
120校の大学がノミネートされた首都圏編の調査によると、首都圏の主要大学120校における「大学ブランド総合力」は、第1位が東京大学(87.3ポイント)、第2位が早稲田大学(83.7ポイント)、第3位が慶應義塾大学(82.4ポイント)で、順位は前回と同じだった。この3校は総合力上昇ランキングでもトップ3となっており、4位以降との差は広がったのだが、3校の上昇スコアが慶應義塾大学、早稲田大学、東京大学の順になっているため3校間のスコア差は小さくなった。首都圏の大学ブランド力トップ争いがより接戦になっている。
自由回答などを見るとブランド力上昇には、コロナ禍における対応などが寄与したと考えられる。東京大学は、全国の大学に先駆けオンライン授業の導入を発表。早稲田大学も早期にキャンパスの閉鎖とオンライン授業導入を発表したが、学費について疑問を呈する声が広がった。これに対して同校は「早稲田大学の学費に対する考え方」を発表、その後学生への経済的支援を講じるなど、その真摯な姿勢が評価された。このように、非常時における意思決定の速さや、メッセージの明確性はブランドに与える影響が大きいことがわかる。
また、学習院大学は「礼儀正しい、上品である」「伝統や歴史を重んじている」「誠実である、正直である」の3項目で第1位を獲得。特に「礼儀正しい、上品である」は、31.7%と得票率が高く、2位学習院女子大学と約8ポイント差をつけ突出している。これらは例年強いイメージではあるが、2020年は天皇皇后両陛下の長女、愛子さまが4月にご入学されたことが影響したと考えられる。
東京農工大学は「地域貢献」において3年ぶりに第1位に。「地域産業に貢献している」「地域社会・文化に貢献している」では120校中第1位、「親しみが持てる」では第6位といずれも評価が高い。農業の課題に対する工学的なアプローチや、マイクロプラスチックなどの環境問題、コロナウイルスといった身近で大きな社会課題への取り組みが評価されている可能性が高い。今回の評価については「地域“社会”貢献」のニュアンスが強い傾向にあると考えられる。
参考:【日経BPコンサルティング株式会社】大学ブランド総合力、トップ3は東大、早稲田、慶應の接戦に 「礼儀正しい、上品である」など3項目で学習院大がトップ 「地域貢献」は東京農工大がトップを獲得