順天堂大学スポーツ健康科学部では、コロナ禍の2020年10月、同学部に在籍する1年生を対象に体格・体力測定、1~4年生までの全学生対象に運動・スポーツ実施状況等に関するWeb調査を実施した。
順天堂大学スポーツ健康科学部では、1969年から同学部の全学生を対象とした体格・体力の測定(体格体力累加測定)を毎年実施し、スポーツ系大学生の基礎体力および形態データを蓄積している。2020年はコロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延という例年とは異なる状況の中、COVID-19に起因する学生の体格・体力や運動・スポーツ実施への影響を調べることの社会的価値などを鑑み、緊急事態宣言期間前・期間中の運動・スポーツ活動や食習慣などに関連した変化について新たにWeb調査項目を加え、現地測定の対象者を1年生に限定し調査を実施した。
体格・体力測定では、体重、握力、立ち幅とび・反復横を測定。2020年度は入寮を8月末とし、例年よりも5ヶ月程度、活動の開始が遅れ、体力の低下が想定されたが、2019年度と今年度の体格・体力の差はそれほど大きくなかった。その理由として、緊急事態宣言期間中に筋力や持久力の低下を実感している学生が過半数を超えていたものの、80%以上の学生が自主的に運動・スポーツを実施していたことや、入寮以降に運動部や同好会等の活動に参加し、体力を維持・回復させることができたと考えられる。(対象:スポーツ健康科学部1年生/男性253名・女性166名/参加率:90.7%)
また、Web調査によると、緊急事態宣言期間中(4月~5月頃)の運動・スポーツ実施状況については、学内外の施設を利用した運動部や同好会の活動が完全に禁止されていたが、84.3%(男性85.2%、女性83.0%)の学生が自宅や自宅周辺の限られた環境の中で自主的に体を動かしていた(平均で週3日)。緊急事態宣言期間中は、運動・トレーニングの量、強度、内容、環境、いずれについても減った、下がった、悪化したといった回答が60%以上。筋力や持久力の低下を実感している学生が60%以上いるのに対し、調整力や柔軟性についてはその低下を実感している学生は過半数を下回った。したがって、緊急事態宣言期間中の運動・スポーツ活動の制限は、調整力や柔軟性よりも筋力や持久力の低下に影響していた可能性がうかがえる。
1日のTV・スマホ・PC・ゲーム等のディスプレイ視聴時間については、インターネットを利用した遠隔授業開始前の時期(4月から5月11日)は1日平均5.4時間、遠隔授業開始後の時期(5月12日から5月末)は授業外で1日平均4.1時間、授業内で1日平均3.6時間だった。6時間以上の割合で見ると、授業開始前の時期が40.3%で、2019年度と比べて約4倍に増加するなど、ディスプレイ視聴時間は著しく増えた。(対象:スポーツ健康科学部全学生1635名/回答率74.2%)