東京大学大学院教育学研究科の佐々木司教授と東京都医学総合研究所、高知大学の研究チームは、10代の若者が心の健康を維持するのに8.5時間の睡眠時間が必要となることを突き止めた。中高生の大半がこれより少ない睡眠時間しか取っておらず、習慣を見直す必要がありそうだ。

 東京大学によると、調査は三重、高知両県の中高生約2万人を対象に平日夜間の平均睡眠時間とうつ、不安症状に関する質問に対する回答を解析。対象を睡眠時間1時間ごとに分け、うつ、不安症状のリスクを抱える割合をはじき出すとともに、うつ、不安症状のリスクが最少となる睡眠時間を統計学的に算出した。

 その結果、男子では睡眠8.5~9.5時間、女子では睡眠7.5~8.5時間を取っている生徒で、うつ、不安症状のリスクが最も小さいという結果が出た。
さらに、うつ、不安症状のリスクが最も小さくなる睡眠時間を求めたところ、男子は中学生で8.8時間、高校生で8.5時間、女子は中学生で8.0時間、高校生で7.5時間であることが分かった。
中高生の平均睡眠時間は中学1年生で男子7.9時間、女子7.5時間、高校3年生で男子6.8時間、女子6.6時間。ほとんどがうつ、不安の症状のリスクが最も小さくなる睡眠時間より短いことから、研究チームは習慣の見直しを示唆する結果が出たとみている。

 睡眠不足と精神不調の関連は昔から知られていたが、近年は生活習慣の変化により、睡眠時間が短縮している。しかし、子供たちに必要な睡眠時間は、データ解析から示されていなかった。

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