加齢とともに心身が老い衰えた状態は「フレイル」と呼ばれ、要介護状態に陥る危険性が高いが、早く介入して対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性(可逆性)がある。畿央大学健康科学部理学療法学科の高取克彦教授と松本大輔准教授は、フレイルの危険性や発生率が特に高い後期高齢者の大規模な調査を実施。フレイルから脱却した人は近隣者との交流が多く、地域に対する信頼が高いことなどが明らかになった。

 これまでフレイルに関しては要介護状態に移行する危険因子についての研究が多く、フレイルからの脱却に影響する要因は不明だった。今回、地域在住の後期高齢者約5,000人を2年間追跡し、フレイルのステージ変化を調査。初回調査時にフレイルと判定され、2年後に健常(ロバスト)またはプレフレイル(フレイルの手前の状態)に改善した対象者の特性を分析した。
その結果、「高い主観的健康感」、高齢者サロンでの運動や体操教室への参加など「運動系社会参加活動」が重要な因子と判明。また、「近隣住民との交流が強い」、「住んでいる地域への信頼が強い」、「社会参加活動を行なっている」、すなわち「活動的な地域活動を行うための個人レベルのソーシャルキャピタル※の強さ」が重要と分かった。

 今回の研究は、後期高齢者のフレイルの脱却因子を大規模かつ前向きに調査した研究としては日本初。現在、初回調査から4年後までの追跡データがあり、今後はフレイルであっても要介護状態に至らない人の特性などを分析し、フレイルの負の側面だけでなくポジティブなステージ変化に資する基礎データを示すことで、今後のフレイル予防・介護予防に役立てる研究を継続したいとしている。

※ソーシャルキャピタルとは「人々の協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高めることのできる、「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴」のこと(厚生労働省HPより)。

論文情報:【PLOS ONE】Social factors associated with reversing frailty progression in community-dwelling late-stage elderly people: An observational study

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