東北大学東北メディカル・メガバンク機構はオランダのフローニンゲン大学との国際共同研究で、日本・オランダの一般地域住民の夫婦ペアを対象に生活習慣、医学検査値、疾病に関し、配偶者同士の類似性を確認したと発表。遺伝的に類似性が低く、生活習慣は類似性が高い夫婦間で多くの相関がみられたことから、生活習慣の重要性が示唆された。
これまで、配偶者同士の心血管・代謝疾患のリスク因子(生活習慣、医学検査値、疾病の有無)の類似性を2国間で調査し、比較した研究はなかった。今回の国際共同研究は、日本人とオランダ人の集団間の心血管・代謝疾患のリスク因子について、配偶者同士の類似性を定量化し比較することを目的としたもの。
日本・オランダの一般地域住民の夫婦ペア総計約3万組を対象に、生活習慣、医学検査値、疾病の類似性を両国の公的バイオバンクを利用し検討した。日本の情報は東北メディカル・メガバンク計画、オランダはLifelines研究で得られた。
その結果、喫煙・飲酒・運動などの生活習慣、体重、腹囲、肥満度(BMI)、血圧、総コレステロール・中性脂肪・HDL-コレステロール・LDL-コレステロールなどの検査値、高血圧・糖尿病・メタボリック症候群の疾患について、配偶者同士の類似性が確認された。この結果は日本・オランダともに同様だった。
これにより、生活習慣病の予防として「健康診断等で夫婦一緒に保健指導を行う」、「夫婦で励まし合い・競争し合うような環境を作る」などの施策で、効果的な生活習慣への改善が期待できるとしている。また、夫婦は遺伝要因よりも環境要因を共有しているため、環境要因と疾病の関連をより明確にできる可能性があるという。