新型コロナウイルスのオミクロン株が国内で猛威を振るう中、山梨大学は山梨県内で発生した新型コロナ患者全員に山梨大学で開発された感染者の症状把握システム「SHINGEN(シンゲン)」を導入した。コロナ対策の医療版デジタルトランスフォーメーション(DX)活用で、医療崩壊を防ぎながら経済活動を継続する「山梨モデル」を支える存在として注目されそうだ。
山梨大学によると、シンゲンは山梨県で英雄とされる戦国大名の武田信玄にちなんで命名された。新型コロナ患者が発熱状況や血中酸素飽和度、呼吸状態、倦怠感など自分の症状をスマートフォンを使って入力すると、医療従事者がリアルタイムで状態を把握できる仕組み。
山梨県内の新型コロナ患者は病院のほか、県内3カ所の医療強化型宿泊療養施設、宿泊療養ホテル、自宅に分散しているが、情報は病院や療養施設に常駐する医師、看護師のほか、施設の管理者、山梨大学付属病院、医師会、重点医療機関のコロナ外来などで共有される。高熱や酸素濃度の急低下など問題があればアラートがつき、医療従事者はすぐに情報を把握して対応できる。新型コロナ患者は自宅にいても、いつでも適切な指示を受けられることから、安心できる。
山梨県ではこれまで、看護師らが各患者に電話などして症状を聞き取り、紙に記録して管理していた。しかし、この方法だと時間がかかりすぎて処理量が限定されるうえ、患者が増えてくると問題が発生してもすぐに対応するのが難しかった。