横浜市立大学大学院データサイエンス研究科の金子惇准教授らの研究グループは、日本の医療のへき地度を100段階で表す尺度を開発した。この尺度を使えば医療の特徴を可視化することができ、地域の課題解決につながることが期待される。
横浜市立大学によると、研究グループは諸外国の研究結果や国内のへき地医療専門家の意見、へき地医療に携わる行政官、医療関係者らへのアンケート結果などを基に、人口密度、二次または三次救急病院までの距離、離島、特別豪雪地帯の4項目を組み合わせて最も都市化している尺度1から最もへき地度が高い尺度100までに地域を分類する手法を開発した。
それぞれの地域のへき地度は郵便番号や市区町村、二次医療圏ごとに算出できる。実際に算出結果を出したところ、二次医療圏ごとに医師の偏在度を示す医師偏在指数と中程度の負の相関、平均寿命とも負の相関が見られた。
へき地と都市部の健康や医療資源の格差は世界的な課題になっている。海外では独自に壁度を示す尺度を設けた国があるが、国内では約1,100万人の人口、国土面積の58%がへき地と呼ばれる地域にあるにもかかわらず、へき地度を表す尺度がなかった。過疎地域や無医地区など行政的な区分は、2~3段階しかなく、へき地度を示すのに十分といえなかった。