きつ音(どもり症)で福岡市の九州大学病院に来る中高生の26%が不登校で、その原因の1つに社会不安症が関係していることが、九州大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の中川尚志教授、福岡教育大学教育学部の見上昌睦教授、長崎県立大学看護栄養学部の吉田恵理子准教授、国際医療福祉大学福岡保健医療学部の梅崎俊郎教授らの共同研究で分かった。
九州大学によると、九州大学病院にきつ音を訴えてやってきた中高生84人のうち、22人が不登校だったことから、研究グループは2つの研究でその原因究明に挑んだ。
最初の研究では、不登校とそうでない中高生の社会不安尺度を調べたところ、不登校の中学生の社会不安尺度が有意に高かった。次にきつ音の中高生を社会不安症の20人とそうでない20人に分け、発話に関係する問診票調査をしたところ、社会不安症を持つ中高生に「きつ音が出たあと自己否定の思考に陥る」「話す際に手足が震える」との答えが多かった。研究グループはこの点に注目する必要があるとみて、もっと幼い小学生の段階から社会不安症や不登校に陥らない予防活動を推進すべきとしている。
きつ音は中高生に1%ほど存在するとされる。幼児期や小学生のころは教育機関や福祉医療機関で対応があるが、中高生になると支援する機関が少なくなり、現状が十分に把握できていなかった。