大学入学共通テストの英語民間試験導入延期で、国立大学協会は熊本市で開いた総会で全受験生に英語民間試験を課すとする指針運用を先送りするとともに、全国の国立大学が29日までに個別入試での対応をホームページなどで公表することを決めた。
国大協によると、2018年に英語民間試験を全受験生に課し、結果を入学者選抜に活用するとした基本方針に従い、活用に向けたガイドラインを公表していたが、文部科学省が英語民間試験の導入を先送りしたのを受け、指針運用を当面先送りする緊急決議を採択した。ガイドライン見直しを求める声もあったが、現時点での採用を見送り、今後は文部科学省が設置する新制度検討の会議での議論を見ながら対応するとしている。
国大協を構成する86国立大学は個別入試での対応発表で、受験生が独自に受けた英語民間試験の成績を出願資格や合否判定に利用するかどうかを明らかにする。どこまで踏み込んだ発表にするかは、各大学の判断に委ねる。
文科省のまとめでは、国の成績提供システムを利用して英語民間試験を活用するとしていた大学や短期大学は全体の6割弱にとどまるが、国立大学では95%に達していた。
東北大学や北海道大学は家庭の経済状況や居住地で格差が生まれるなどとして活用しない方針を打ち出していたが、東京大学や京都大学は出願資格の判定に使い、筑波大学や三重大学は加点方式で採用する方針を示していた。