薬学系、看護系、情報系は引き続き人気が高い
理系分野の入試結果の特徴は、医療系の人気が引き続き高いことです。医学部も一頃のブームからは、やや落ち着きかけていた感がありましたが、再び人気が高まり、看護系、医療技術系の人気も継続しています。医療系の中では特に国公立大学の薬学系の人気が高まりました。薬学部はここ数年、人気が下降傾向にありましたが、受験生が再び注目をしています。これまでも大きな災害や紛争などがあると、医療系学部の人気が高まることは何度も見られました。今回は感染症の治療薬やワクチンなど創薬に関心を持った受験生が増えたものと見られます。この傾向はまだしばらく続くと思われます。
また、情報系学部の人気も安定して継続しています。2017年に滋賀大学にデータサイエンス学部が設置されて以降、毎年のようにデータサイエンス系の新学部が設置されていますが、情報系人気の中心は、志願者数の規模や学科数の多さから見ても工学系と言えるでしょう。工学系学部は受験科目で数学は必須ですが、情報系の場合は数学ⅡBまでの範囲で受験可能な工学系の学部もあります。
また、情報系を志望していても工学系を目指していない受験生の場合は、経営学・商学系、社会学系の学部も選択肢に入れておきたいところです。経営学・商学系の学部では、ほとんどの大学でマーケティングの科目やゼミなどがありますが、学ぶ内容にデータサイエンスが含まれています。と言うよりも、データサイエンス系学部で学ぶ消費者の志向や消費者行動は、経営学・商学そのものです。また、社会学系の学部で学ぶ社会調査法は統計学が必要となりますのでデータサイエンスを学んでいると言って良いでしょう。意外なところでは工学部経営工学系の学科も同様です。経営工学系の学科を設置している大学は多くはありませんが、青山学院大学、中央大学、法政大学、東京理科大学など主要な大学で設置されています。