文部科学省の学校基本調査から考える「大学合格率96.3%」
ここでもう少し大きく入試環境を捉えてみます。昨年の12月に発表された文部科学省の「令和2年度 学校基本調査」によると、2020年度の大学入学者数は63万5千人(635,003人)です。同じ年の大学志願者数(実人数)は、全日制・定時制高校で65万9千人(659,135人)、中等教育学校後期課程では5,400人(5,456人)です。
この全日制・定時制高校と中等教育学校後期課程の大学志願者数の実人数を合計すると66万4千人(664,591人)となります。先程の大学入学者63万5千人との差を取ると2万9千人(29,588人)となり、3万人を割り込んでいます。この3万人は大学に志願したが合格していないか、合格しても入学していない人数です。この中から、翌年も入試に再挑戦する生徒が出てくることになりますが、かつて予備校全盛期には本部が代々木のとある大手予備校だけで10万人の在籍者がいたと聞いたことがありますので、いかに大学への合格率が上昇しているかが分かります。
この学校基本調査結果から大学入学者数÷大学志願者数を計算すると96.3%となり、100%に近い数字になります。実人数で見れば大学を志願する受験生のうち96.3%が大学に入学できていることを示しています。換言すればマクロレベルの大学合格率が96.3%と言うことです。なお、大学志願者数に通信制高校の大学志願者数1万3千人(12,963人)を加えると大学入学者数との差分は4万2,551人になりますが、合格率は変わらず96.3%です。
マクロレベルでは大学にとっては厳しく、受験生にとっては希望の持てる環境のように見えます。ここで、希望の持てる環境です、と言い切らないのには当然理由がありますが、それは機会を改めて取り上げたいと思います。