京都産業大学は、文系・理系合わせて10学部18学科、約1万5000人もの学生がひとつのキャンパスで学ぶ“一拠点総合大学”だ。この利点を生かし、人文・社会・自然科学など幅広い学問領域について学部の枠を越えて学べるプログラムを強みに、「将来の社会を担って立つ人材の育成」に力を注いでいる。就職に強い大学としても知られ、学生一人ひとりが自分らしく就職活動できるよう多様なプログラムを提供している。進路・就職支援センター長の西村教授と吉井課長に、支援プログラムの狙いを伺った。

 

2023年就活祭の個別相談ブースの様子

 

多分野の学生や先輩との交流は財産
人間的成長とキャリアへの意識を深める

 「本学の特色は、全学部の学生がひとつのキャンパスで学ぶ“一拠点総合大学”であるということです。他分野の学生から学ぶことは多く、授業や部活動などで出会う多様な人材との交流を通じて人間的成長が期待できます。交流の範囲は同学年にとどまらず、先輩後輩にも及び、学生の進路選択や就職活動にも良い影響を与えています」と西村教授。

 京都産業大学では就職支援のひとつとして、進路の決定した4年次生が『学生就職アドバイザー』として後輩の相談に応じるというかたちで交流する機会が設けられている。様々な価値観を持った学生同士が触れ合うことで、進路選択の際の視野を広げたり、働くうえでの自身の軸を深めることができるという。また、実体験を交えた就職活動のアドバイスは、本格的な就職活動を控えた学生の不安や疑問解消にも大いに役立っている。

 学生就職アドバイザーは個別相談にのるだけではない。毎年2月ごろには学生就職アドバイザーが主体となって『就活祭』というイベントを企画・開催しているのだ。『就活祭』では、卒業後5年目までのOB・OGを招き、模擬面接や応募書類の作成講座を実施。参加学生は業界ごとのブースを回って、若手社員として活躍する先輩から直接、業界や企業、仕事について話を聞くことができる。久しぶりの対面開催となった『2023年第21回就活祭』は、祝日にも関わらず約650人もの3年次生が参加。熱心に話を聞く様子が見られた。4年次生にとっても大規模イベントを運営するというさらなる成長の場となったようだ。

 こうした先輩から後輩へと受け継がれるキャリアのサポートも「就職に強い京都産業大学」を支える秘訣のひとつといえるだろう。

2023年就活祭の個別相談ブースの様子

就職活動に必要なあらゆるテーマを網羅
年間1300回の行事と面談のきめ細かな支援

 進路・就職支援センターのサポートも手厚い。1年間に開催する学内就職支援行事はおよそ1300回にも及ぶという。これだけの回数を実施する背景を吉井課長はこう説明する。

 「早くから就職活動をはじめる学生もいれば、ギリギリまで動き出さない学生、何から始めたらよいかわからないという学生もいます。就職活動をはじめる時期も人それぞれ。いつスタートしても必要な情報が得られるように支援行事全体を設計しているのです」

 たとえば、3年次の夏休みにインターンシップへ参加を希望する学生は4月から、夏休みはボランティアや留学に取り組むという学生は9月から、年内は授業やゼミ、部活動などに集中するという学生は年明け以降から、就職活動を開始する傾向があるのだという。

 「しかし、今年はすこしスタートを早めて2年次の2月にプレガイダンスを実施しました。これまでは3年次の4月に最初の就職ガイダンスを実施していたのですが、昨今、企業の採用活動が早期化する傾向にあるため、早めの対応が必要と考えたのです。たいへん盛況でしたね」(吉井課長)

 支援行事のラインナップは、就職活動の進め方やインターンシップについて学ぶ基礎講座、応募書類の書き方や面接対策などを行う講座、業界別セミナーや公務員対策セミナー、UIJターン就職の個別相談会など多岐にわたる。最近では自己PR動画の提出を求める企業も増えてきたため、撮影機材の使い方や動画編集などの講座も追加した。

 これら支援行事の年間スケジュールは学生に配布されており、就職活動を開始した学生はもちろん、これからスタートするという学生にとっても、周囲の学生が何に取り組んでいるのかを知り、今後自分が何をしなければならないかを考えるのに役立っている。

 「一方で強調したいのは、面接対策などのノウハウ系講座に終始するのではなく、当センターでは大学図書館と連携し、業界・企業研究のための情報収集法や、財務諸表の読み解き方を学ぶ講座に力を入れているということです」(吉井課長)
「内定はゴールではなく大切なのはその先。業界や企業への理解が不十分な状態で就職先を選ぶとミスマッチとなる可能性もあり得ます。その業界・企業がどのように発展してきたのか、これからの社会の変化にどう対応しようとしているのか、就職サイトだけでは得られない情報にもっと関心を寄せてもらいたいですね」(西村教授)

 もちろん個別相談にも力を入れている。進路・就職支援に携わるスタッフはキャリア教育担当も含めて約50名と「全国屈指の手厚さ」と西村教授は自信をのぞかせる。

 「就職活動は一人ひとり違って当然です。本学では、学生自らが考えて行動できるよう授業を通じて成長を促しており、自分の力で活動を終える学生も多くいます。そういった学生を後方支援する一方、就職活動に自信が持てない学生には対話を大切にしながら、すべての学生が社会人として踏み出せるよう粘り強く支援をしていきます」

 

京都産業大学 進路・就職支援センター

センター長・経済学部 西村佳子教授(左)、吉井ともえ課長(右)

 

京都産業大学

文理10学部18学科が集う一拠点総合大学

京都産業大学は、文系・理系合わせて10学部18学科、約15,000名がひとつのキャンパスで学ぶ一拠点総合大学です。この利点を活かし、実社会で生きる高度な専門知識とスキルを養うとともに、学部を越えた知の交流により総合的かつ柔軟な学びを展開しています。各分野の第一[…]

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