2024年4月、関西外国語大学は外国語学部国際日本学科と短期大学部未来キャリア英語学科を開設する。2023年4月の「国際共生学部」「外国語学部 英語・デジタルコミュニケーション学科」に続き、予測困難な時代に対応する国際人の育成をさらに加速させる。

 


国内外で必要とされる「世界と日本をつなぐ」人材

新型コロナウイルス感染症の状況は一定の落ち着きをみせ、社会は以前の日常を取り戻しつつある。コロナ禍で減少、停滞していた人の流れも増加、企業や地域コミュニティなど様々な場所で、外国人との交流は再び日常的な風景としてみられるようになった。国内の在留外国人数も年々増加し、2022年6月には過去最多の約296万人に上った(出入国在留管理庁「在留外国人統計」による)。社会状況の変化に伴い、外国人とのコミュニケーションにおいて語学はもちろん、文化や歴史などお互いのバックボーンに対する相互理解の重要性がさらに増している。

「国際的なコミュニケーションは、グローバル企業だけではなく一般企業から公的機関に至る、日本各地の隅々に及び『世界と日本をつなぐ』人材の確保が喫緊の課題になっている」と話すのは、国際日本学科長就任予定の柿木重宜教授だ。

「日本では、急増する外国人人材のすべての方と、円滑にコミュニケーションが図れているわけではありません。言葉の壁然り、家族とともに日本で暮らすためには、子どもたちの就学といった問題など乗り越えなければならないハードルがたくさんあります。そのような状況を一つずつ前進させていくために、できることを議論した結果、国際日本学科を開設することになりました。国内外で外国人の方に日本語を教え、日本の文化を伝えることができ、日本社会と外国人の方との橋渡しができる人材を育成していきたいと考えています。また、能や狂言などの伝統文化からアニメや漫画、ファッションをはじめとするポップカルチャーまで、日本文化への造詣を深め、それらを英語で世界へ発信する担い手を育てることも同学科の目的の一つです」

英語と日本語の高い運用能力を磨き
柔軟に履修できるカリキュラムで希望するキャリアへ

国際日本学科では、日本語と英語について独自のアプローチでその能力を高めていく。英語については、外国語学部英米語学科と同等のカリキュラム内容(専門必修科目44単位のうち40単位が英語関連科目)で、高度で実践的な英語運用能力を身に付ける。同様に日本語についてもその専門性を磨き日本語教員を目指すことが可能だ。

カリキュラムは、コース制ではなく専門選択科目を「群」として、履修後でも変更できるよう自由度を高くし、例えば、目指すキャリアを日本語教員からビジネス分野に変えたいといったような場合にも、必要な専門科目を履修できるようにする。

開講される予定の科目も、現役のアナウンサー(予定)が講義を行う「音声学特殊講義」や、日本語教育関連の「渡日外国人児童教育」、「ネイティブの先生から英語で日本の伝統文化について学ぶ」といった興味深いものが多い。

日本を学び世界へ
留学を後押しする充実したサポート

国際日本学科では、学生の学ぶ意欲を後押しする制度も充実させる。独自の留学プログラムとして構想中の「グローバル・リエゾン留学(仮称)」は、1年間、現地学生と同じクラスで専門分野を学ぶ「リベラルアーツ留学」をベースに、留学までに英語力とともに、自国の文化や歴史についての見識を深め、留学先において紹介・発信する内容も盛り込んでいる。さらには、日本語教育の推進と日本語学習者の支援活動にも取り組む予定だ。

気になる費用面についても、給付型の留学奨学金「フルスカラシップ」の対象とし、条件を満たした学生全員に、留学先大学での授業料をはじめ、住居費や食費が免除・支給される。「充実した制度を活用して、ぜひ留学の夢を実現し、在学中から世界に向かって日本の魅力を発信してもらいたいと思っています」と、柿木教授は話す。

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関西外国語大学

新学科を開設!国際社会で活躍できる人材を育成

世界55ヵ国・地域395大学とのネットワークで、多彩な留学プログラムを展開する関西外国語大学では、学生のニーズに合わせ、留学に派遣しています。2022年度は約1,250人を海外に派遣しました。また、2024年4月に高度な英語運用能力を有し、日本語や日本文化を学[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

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