情報学や統計学を軸に発展的なカリキュラムで
イノベーションを起こす人材を育成

 データサイエンス学部では、高度なデータを処理する「情報学」とデータを分析する「統計学」を中心に、機械学習、調査、立案、プログラミングなど、文理融合のカリキュラムをバランスよく学ぶ。また、生成AIについても理論と活用、倫理的な課題にも取り組むなど、社会環境の変化やテクノロジーの発展に鑑みて学ぶ内容も柔軟に対応させている。

 さらに、「学生たちは企業や自治体の現場でデータ分析やデータ活用の提案を行い、リアルな社会課題解決の過程を肌で実感しています。イノベーションは現場で起きています。」と、市川学部長は話す。だからこそ、イノベーションを起こせる人材を育成するには、企業などと連携した実践的な学びのカリキュラムが欠かせない。

 そのため、1・2年次の入門的な演習から始まり、3・4年次での卒業研究の演習に至る過程では、企業の実データを使用するPBL(Project Based Learning=課題解決型学習)が多数展開されている。消費購買データを基にした新商品や新ブランドの提案をはじめ、廃棄ロスを減らしたいという食品メーカーへの需要予測、高齢者の歩行能力の問題点を歩行時の関節の動きから解析するなど、学生は、多種多様な分野で課題解決や新たな価値の創造を行う。

 ビジネスデータサイエンティストを養成するゼミでは、3〜4年次の2年間で、課題解決型のプロジェクトを最大6件経験する。具体的には、大学が連携する製造業や小売業から業務の課題とデータ提供を受け、企業の担当者にヒアリングを実施し、仮説をもとにデータを分析し、最終的な課題解決案のプレゼンテーションを行う。さらに、企業担当者の評価を受ける仕組みを設けることで、実践感覚を身につけていくのである。

 社会に役立つことを目標とするデータサイエンスという分野において、滋賀大学データサイエンス学部が社会に求められる人材を輩出し続けているのは、こうした日々の学びにある。私たちの生活にとって欠くことができなくなっているデータサイエンスの進化とともに、滋賀大学データサイエンス学部の学びもさらに進化していく。

滋賀大学 データサイエンス学部長

市川 治教授

 

  

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滋賀大学

「琵琶湖世界 BIWAKO Cosmos」から世界へのつながりを拓く

師範学校の時代から140年余、伝統に支えられ、豊かな人間性とグローバルな視野を備えた専門性の高い職業人の養成をしている。2017年にデータサイエンス学部が新設。企業課題を踏まえた協働研究で価値創造など多彩な研究を行い、文理融合型大学への転換を進めています。それ[…]

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