東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻 曽我昌史特任助教らの研究グループは、植物と直接触れ合うガーデニングが、人々の健康を向上させ、欝などストレスレベルの低下につながることを「メタ解析」により世界で初めて明らかにした。

 現代の都市化社会において、都市住民の健康を促進させることは極めて重要な課題となっている。また、これまで、ガーデニングを通した植物との触れ合いは、人々の健康に資することが指摘されていたものの、その有効性を示す科学的根拠は乏しく、確証を得るには至っていなかった。

 このような現状を背景に、研究グループでは、既存の研究データをまとめて解析する研究手法「メタ解析」を用いて、ガーデニングが持つ健康促進効果の有効性と一貫性を検証。メタ解析に用いたのは、2016年1月までに学術論文データベース「PubMed」および「Web of Science」に掲載された英文論文を系統的・網羅的に検索し、ガーデニングと健康の関係を扱った76の試験。

 それぞれの試験で報告されている、ガーデニングを行っていない人と行っている人の健康状態の向上の違いを示す個別の試験結果を統合し、ガーデニングと健康促進の間に統計的に有意な関係性があるのかを検証し、ガーデニングに参加することで、うつ症状やストレスレベルの低下、生活の質や地域社会との結びつきの向上、肥満の防止等、人々の心身の健康に関わる多様な尺度の向上に役立つことが分かった。

 また、今回解析に用いた76の試験を精査した結果、身体的健康(肥満度や骨密度等)に比べ、精神的健康(鬱・不安症状、人生満足度等)の方がよりガーデニングと強い関係性があることも示された。 しかし、今回の研究ではガーデニングと健康促進の間の詳細な因果関係を解明するまでには至らなかったため、今後は、ガーデニングを含めた「自然体験と健康促進の関係」について、より詳細なメカニズムの解明を進め、都市計画、健康づくりなど様々な観点から具体的な提言を示せるよう、研究を進めていく。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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