群馬大学と農業・食品産業技術総合研究機構の共同研究グループは、遺伝子改変カイコを用いて、血糖値を低下させる活性を持つ化合物を同定した。
群馬大学はこれまで、遺伝子改変カイコを用いて有用タンパク質の効率的な生産方法の確立や、新薬候補化合物の発見などに取り組んできた。化合物による受容体への効果をより簡便かつ正確に測定するために、カイコにヒトの受容体の遺伝子を導入し、ヒトの受容体が多数存在している遺伝子改変カイコの細胞膜を用いて、受容体と結合する化合物の探索を行っている。
今回、同グループは、血糖値を低下させる化合物を探索するため、インスリンの分泌促進に関わるGPBA(Gタンパク質共役受容体の一種)に注目し、この受容体を活性化させてインスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる効果が期待できる化合物を集中的に探索した。その結果、理化学研究所の化合物ライブラリー(NPDepo)に含まれる10,625種類の化合物の中から、GPBAを活性化する化合物を新たに発見した。さらに、同グループは、マウスを用いた動物実験により、見つかった化合物が実際に血糖値を低下させる効果を持つことを確認した。
群馬大学はこれまでにも遺伝子改変カイコを用いて新規鎮痛薬候補化合物を発見しており、今後もこうした手法による新規治療薬候補化合物の発見が期待される。