中部大学の山本尚(ひさし)教授が「ロジャー・アダムス賞」を受賞することが決定した。同賞は有機化学界で最も権威があるとされ、米国化学会が隔年で選考する。日本人ではノーベル化学賞を2001年に受賞した野依良治名古屋大学特別教授に次いで二人目。1959年同賞設置以降、世界では30人目で受賞者のうち11名がノーベル賞を受賞している。授賞式は来年4月に米国サンフランシスコで開催される。

 有機化合物は炭素を含む化合物で、右手と左手のように立体構造が異なる異性体(鏡像異性体)が存在するものがあり、構造が違うだけで毒性を持つことがある。これを作り分ける(不斉合成)ために触媒が必要だが、山本教授は優れた不斉合成の機能を持つ「キラル・ルイス酸触媒」という触媒を1980年台初頭、世界に先駆けて提案。その有用性を実証し、「分子性酸触媒」という新分野を開拓した。

 その後、さらに高選択性が得られる、ルイス酸とブレンステッド酸を組み合わせた複合型酸触媒など、新世代の触媒の創成に成功。現在、世界中で用いられている分子性酸触媒の源流となった。21世紀に入ると有害金属を含まない強酸性のブレンステッド酸触媒(スーパー・ブレンステッド酸触媒)へと研究を発展させ、環境への影響が極めて低いにもかかわらず、必要な有機物質だけを省資源で作り出せる合成法にも成功した。

 山本教授は現在73歳。京都大学工学部卒業後、米国ハーバード大学大学院博士課程修了。名古屋大学教授、米シカゴ大学教授を経て、現在、中部大学教授、同大学分子性触媒研究センター長と総合工学研究所長を兼任。今年、日本化学会会長に就任した。

注:酸触媒はルイス酸(電子を受け取る物質)やブレンステッド酸(水素イオン[プロトン]を与える物質)を用いたもの。さらに応用性向上のため人工的に分子修飾したものが分子性酸触媒。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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