イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」は2022年3月24日、「THE世界大学ランキング日本版2022」を発表した。ランキング対象校は国内273大学(国立67校、公立42校、私立164校)。東北大学が3年連続のトップを獲得し、私立大学は前年から順位を1つ上げて11位の慶應義塾大学がトップとなった。
「THE世界大学ランキング日本版」は教育力重視のランキング。6年目となる今回は、これまで同様、ランキング指標は「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」の4分野で構成。「教育充実度」のスコアは2019年から学生調査を行い“在学生の声”が反映されている。また、コロナ禍の影響で留学の送り出しが困難になったことをふまえ、「国際性」分野の「日本人学生の留学比率」は、前回と同じ2019年度のデータを使用した(前回、不参加の大学は2020年度のデータを使用)。
総合1位の東北大学は「国際性」の順位が6つ上がって9位、国立大学の中ではトップ。トップから3位までの差が0.1ポイントずつで拮抗する「教育成果」も3位。「教育充実度」は順位を4つ上げて4位タイ、「教育リソース」は6位と高いレベルでバランスのよさを発揮し、3年連続のトップとなった。
総合2位の東京大学は「教育リソース」で前年の4位からトップに上がった。総合3位タイは大阪大学と東京工業大学。大阪大学は「国際性」で27位から19位と大きく順位を上げるなど4分野全ててスコアを伸ばした。東京工業大学の強みは、学生や高校教員の声を反映する「教育充実度」で、6位にランクインした。
各指標のトップ3をみると、「教育リソース」1位は東京大学、2位東京医科歯科大学、3位兵庫医科大学。「教育充実度」は1位国際教養大学、2位国際基督教大学、3位立命館アジア太平洋大学。「教育成果」は1位京都大学、2位北海道大学、3位東北大学。「国際性」は1位立命館アジア太平洋大学、2位国際基督教大学、3位大阪女学院大学だった。
今回のランキングから、コロナ禍が長引き大学が困難に向き合い続ける中、日本の大学の“底力”も読み取れる結果となった。「教育充実度」に反映される「学生調査:教員・学生の交流、協働学習の機会」では、多くの項目の平均スコアが、2019年版ランキングでの調査導入以来、継続的に上昇。教員との交流の機会、共同(協働)学習の機会などの平均スコアは前回、初めて下降に転じたが、今回、再び上昇した。各大学におけるオンライン授業の導入・改善などの取り組みが、学生満足度の維持・回復につながったと推測される。