かかりつけ医に加えて複数の医療機関を受診する高齢者のケアの分断について、横浜市立大学大学院データサイエンス研究科の金子惇講師らの研究グループが横浜市のデータベースを用い、日本で初めて調査したところ、26.1%がケアの程度が高いとされるケアの分断指標0.7以上だったことが分かった。

 横浜市立大学によると、調査は2018年4月から2019年3月までの間に横浜市に住民票があり、75歳以上の後期高齢者医療広域連合加盟者か生活保護受給者で、年4回以上医療機関を利用した41万3,600人が対象。研究グループはレセプト(診療報酬明細書)データに記録された年間の総受診回数、受診した医療機関数、それぞれの医療機関受診回数からケアの指標を算出した。

 その結果、年間の平均受診医療機関数は3.42カ所、最大20カ所だった。全体の85%が2カ所以上の医療機関を受診し、ケアの分断指標0.7以上だった高齢者が26.1%に上った。ケアの分断指標は0~1の数値で表され、1が最も高い数値になる。過去の研究で0.7以上になると分断の程度が高いことが明らかになっている。

 1人の医師や1カ所の医療機関で継続して医療を受けるケアの継続性が高いと、救急搬送や入院、死亡が少なくなることが知られている。これに対し、ケアの分断が高いと過剰な診療や救急搬送、入院が多くなるとされている。

論文情報:【BMJ Open】Fragmentation of Ambulatory Care among Older Adults: an Exhaustive Database Study in an Ageing City in Japan

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