福島県の福島第一原子力発電所事故後の除染作業で発生した除去土壌、焼却灰の最終処分で、国民が放射性物質の量より公正な手続きと分配で処分場を設けるよう期待していることが、産業技術総合研究所のアンケート調査で分かった。

 アンケート調査は産業技術総合研究所の高田モモ研究員ら地圏化学研究グループと大阪大学、北海道大学、東京大学、国立環境研究所の研究者が共同し、全国4,000人を対象にインターネット上で実施、受け入れが決まる経緯や処分される放射性物質の量と濃度、居住地と処分場の距離、全国に設置される処分場の数について意見を聞いた。

 それによると、回答者は処分場の場所について居住地から遠い場所を希望すると同時に、受け入れが決まる経緯について首長によるトップダウン方式より住民の意見が反映する形、処分場の数に関しては全国1カ所より福島県以外の各都道府県に1カ所ずつの46カ所を選ぶ傾向があった。これに対し、処分される放射性物質の量と濃度に対しては、明確な好みが示されなかった。

 研究グループは回答者が身近な場所への最終処分場設置に抵抗感を覚えるとともに、公正な手続きと分配で処分場を設けるよう期待しているとみている。

 福島第一原発事故後の除染作業で発生した約1,330立方メートルの除去土壌と焼却灰は、原発が立地する福島県双葉町、大熊町にまたがる中間貯蔵施設で保管されている。これらは2045年までに福島県外で最終処分されることになっているが、最終処分場所や処分方法、立地場所決定の方法などが決まっていない。

論文情報:【PLOS ONE】Important factors for public acceptance of the final disposal of contaminated soil and wastes resulting from the Fukushima Daiichi nuclear power station accident

大学ジャーナルオンライン編集部

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