東京大学医科学研究所の河岡義裕特任教授と国立感染症研究所インフルエンザ・呼吸器系ウイルス研究センターの高下恵美主任研究官らの研究グループが、全世界22カ国の新型コロナウイルス、インフルエンザウイルスの陽性例数を2019年から2022年まで比較したところ、同じ地域で同じ時期に同程度の流行が起きていないことが分かった。

 東京大学によると、調査した国は日本、中国、オーストラリア、インド、米国、ブラジル、南アフリカ、エジプト、英国、イタリアなど。調査期間は2019年第1週から2022年第45週まで。

 その結果、すべての国で新型コロナの感染拡大後にインフルエンザの陽性例数が著しく少なくなっていた。このうち、日本と韓国では新型コロナの流行下で終始、インフルエンザの流行の低い状態が続いたほか、フランス、ドイツ、英国、イタリアを除く18カ国では、新型コロナとインフルエンザの流行のピークに明らかな逆相関が見られた。

 次に、フランス、ドイツ、英国、イタリアの感染状況をもっと詳しく解析したところ、ドイツではインフルエンザの陽性例数が非常に少なかった一方、フランスや英国、イタリアは新型コロナの流行と異なる場所でインフルエンザが流行していたことが分かった。

論文情報:【Influenza and Other Respiratory Viruses】Are twindemics occurring?

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