人事院が幹部候補のキャリア官僚を採用する2023年度春の国家公務員総合職試験の合格者を集計したところ、東京大学の出身者が初めて200人を割り、193人にとどまったことが分かった。激務や頻繁な人事異動がZ世代の若者に敬遠されたためとみられ、若者の公務員離れがさらに深刻さを増している。
人事院によると、合格者は院卒者667人、大卒程度1,360人の合計2,027人。前年度の1,873人から154人増えた。人事院は行政のデジタル化対応で理工系人材を中心に合格者を増やしたとしている。
申込者が前年度の1万5,330人より大幅に減り、過去2番目に少ない1万4,372人にとどまったことから、倍率は前年度の8.2倍より大きく下がって過去最低の7.1倍になった。女性が占める割合は33.7%で、過去最高を記録している。
合格者の出身校は東京大学が最も多く、次いで京都大学の118人、北海道大学の97人、早稲田大学の96人、立命館大学の78人、東北大学の70人と続く。今後、各省庁で面接を実施し、890人程度が採用される見通し。
東京大学出身者は長くキャリア官僚の多くを占めてきたが、この10年で半分以下に落ち込んだ。国会や報道機関への対応などで深夜までの残業が珍しくないほか、転勤を伴う人事異動が頻繁にあることが若い世代に敬遠され、公務員離れの進行に歯止めがかからない。
中央省庁内では、若い世代の実力不足を指摘する声が度々上がっており、国力低下を促進しかねないとして公務員離れへの対応を求める声が強くなっている。